公益財団法人世界自然保護基金ジャパンはこのほど、『サーキュラーエコノミー戦略ガイド』日本語版を公表した。本ガイドは、WWFドイツと国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ドイツが、2024年12月にドイツ語で発表したガイドの日本語版で、今回一般社団法人国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)と同サーキュラーエコノミー(CE)分科会の協力で日本企業の事例と日本の法規制についての内容も追加されている。

本ガイド作成の背景として、WWFジャパンは10月23日に行ったオンライン会見の中で、世界の資源採取量が1970年から3.5倍に激増していることに伴い、天然資源の採取と材料・燃料・食料への加工が全世界のGHG排出量(土地利用に関連する気候影響を除く)の約半分、生物多様性の損失と水ストレスの要因の90%以上を占める現状があると指摘。その上で、資源消費に支えられた経済システムのあり方を見直すためにも、企業がサーキュラーエコノミー戦略を策定することが求められるとした。

一方で、包括的な循環性を目指すことは企業にとって複雑なプロセスとなり得るため、本ガイドでは循環型ビジネスへの移行に役立つ実践的な情報、アプローチ、ツールを提供。企業を循環型に再編するために役立つ多様な手法、ツール、実践例を紹介。企業規模や業種を問わず活用可能な内容になっている。

全108ページからなる本ガイドは、企業が環境、社会、経済へのインパクトを重視したサーキュラーエコノミー戦略を段階的に策定・実行するための実践的な枠組みを提示。自社の循環性に関する進捗度合いに応じて、必要なアプローチやツールを柔軟に検討できるようになっている。

また、より具体的な状況に基づいて検討、作成しやすくなるよう、戦略策定の3つのステップ(現状分析、戦略的な整合性の確保、実行と定着)について、架空の電気メーカーの事例を用いて具体的に解説されている。

本ガイドの構成図(WWFジャパン プレスリリースより抜粋)

さらに、欧州企業のサーキュラーエコノミー事例に加えて、GCNJ加盟の日本企業5社(セイコーエプソン、リコー、大和ハウス工業、LIXIL、TOPPANホールディングス)の事例をコラムとして追加。巻末には、サーキュラーエコノミーに関するドイツと欧州、日本の法規制の概要と、支援プログラムなどの一覧も掲載した。

WWFジャパン 自然保護室 サーキュラーエコノミー・マネージャー 兼プラスチック政策マネージャーの 三沢行弘 氏は「サーキュラーエコノミーに関わるここまで包括的な日本語ガイドは今のところありません。本ガイドは環境や社会に与える影響(インパクト)を重視したサーキュラーエコノミー戦略を策定するための実践的なガイドとして、日本企業にも役立つものです」とコメントしている。

『サーキュラーエコノミー戦略ガイド』日本語版のダウンロードは以下の通り。

見開き版
単ページ版

【プレスリリース】『サーキュラーエコノミー戦略ガイド』日本語版を発表 日本企業が循環型経済へ移行するための実践的な指針を紹介
【関連記事】WWFドイツ、「循環経済戦略ガイド」英語版を発表。3段階で提示