目次
- サーキュラーエコノミーの変遷と動向
- 廃棄物管理を中核とするリヨン市の環境政策
- これまでの廃棄物管理を中心としたリヨン市の取り組みの一例
- サーキュラーエコノミーを一体化したプログラムの推進
- 地域事業者と住民の参加
- 2021年から先へ
- 都市計画と開発
- 移動手段(モビリティ)
- 住宅
- 環境・エネルギー・農業・水・廃棄物
- 産業活動・大学・観光業
- 廃棄物管理を中核とするリヨン市の環境政策
フランス・パリ市東南470kmに位置するリヨン市は、人口52万人を有するフランス第3の商業都市だ。その歴史は古く、旧市街はユネスコの文化遺産に登録されており、フランスの主要観光地の一つとしても知られる。また、フランス・アルプスに近く、周辺は多くの自然にも恵まれている。
サーキュラーエコノミーの変遷と動向
廃棄物管理を中核とするリヨン市の環境政策
リヨン市は、環境への取り組みとして、かねてより廃棄物管理に注力しており、2007年に、「廃棄物管理政策(2007年~2017年)」を10年にわたる長期計画として採択した。この政策に基づき、中央政府担当機関ADEMEの支援のもと、多数の廃棄物削減プログラムに着手している。
リヨン市の廃棄物管理への取り組みは、国家政策が施行される以前から2009年に自治体の自主的活動として着手され、その後設定されたEU及び政府レベルの政策・規制に沿う形で、より具体的な戦略計画やスコープの拡大などを経て発展してきた。
これまでの廃棄物管理を中心としたリヨン市の取り組みの一例
- 市内12ヶ所に、「寄付持ち込み場」を設置し、市民は、不要となった品物・家具・電気製品など日常生活で使用するものを持ち込むことができ、持ち込まれたものは再利用される
- リヨン市は、有機廃棄物の堆肥化に注力しており、2018年には市内の一定地域に70ヶ所の堆肥場を設置、学校などの教育機関にも専用の堆肥場を設け、市民に向けてコンポストの使い方講座も提供している
- 毎年欧州では、クリスマス時期にもみの木が大量に販売され、クリスマス後に廃棄される。リヨン市では、168ヶ所に回収ポイントを設置し、集められたもみの木は、堆肥化されて再利用される
- 都市計画が行われているリヨン郊外のVilleurbanne 及び Vaulx-en-Velinでは、リノベーション・植生回復・原料の再利用・公共工事や施設における廃棄物の管理など、サーキュラーエコノミーにおける取り組みの実験的な適用が行われた
その後、同市議会は、2018年には、廃棄物管理政策を引き継ぐ新プログラム「2019年〜2024年一般廃棄物の防止プログラム(PLPDMA)」を発表した。当プログラムは、地域の環境政策であると同時に、国家政策であるグリーンエネルギーへの移行への貢献も目的としている。
PLPDMAでは、サーキュラーエコノミーの概念について触れ、廃棄物管理への一体化の必要性について言及している。
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