サーキュラーエコノミーは未来をどう預かれるか?循環・充足・脱成長から読み解く欧州最前線
気候変動や資源制約、安全保障リスクの高まりを背景に、欧州ではサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行が進んでいます。エコデザイン、修理権、デジタルプロダクトパスポート、再利用・再製造、資源回収など、「つくる・使う・捨てる」経済からの転換に向けた制度や実践が少しずつ形になりつつあります。
一方で、問いも残ります。資源を効率的に使い、廃棄物を減らし、循環させれば、私たちはこれまで通り生産し、消費し、成長し続けてもよいのでしょうか。サーキュラーエコノミーは、成長を続けるための新しいエンジンなのか。それとも、成長を前提とした社会そのものを問い直す入口なのか。
今回のRefuturingでは、欧州で活動するIDEAS FOR GOOD編集部メンバーが、2026年6月に訪れた二つの現場を手がかりに、この問いを考えます。一つは、デンマーク・コペンハーゲンのデザインフェスティバル「3daysofdesign」。もう一つは、ポーランド・クラクフで開催された中東欧脱成長会議「Degrowth: bridging green and just in Central and Eastern Europe」です。
3daysofdesignの2026年のテーマは「Make This Moment Matter(いま、この瞬間に価値を宿す)」。華やかなショールームや新作発表の場でありながら、現地で見えてきたのは、「より多くつくること」から「意味あるものを残すこと」へ向かう価値観の転換でした。長く使われる家具、公共空間への投資、素材への責任、修理、クラフト。そこには、未来の世代から資源や空間を一時的に預かり、よりよい状態で手渡していく「Stewardship(スチュワードシップ)」の姿勢がありました。

一方、クラクフの脱成長会議では、生活費の上昇、不安定な労働、格差、環境悪化、そしてウクライナ戦争の影を受ける中東欧の現実を背景に、グリーンな移行と社会的公正をどう両立するかが議論されました。ここで語られていた脱成長は、単に「経済を小さくする」ことではありません。何を減らし、何を増やすのかを、社会が民主的に選び直すための問いでした。

コペンハーゲンで見えてきたのは、長期的な経営やデザインを通じて、必要なお金を回しながら未来への責任を果たそうとする姿でした。一方、クラクフで語られていたのは、成長を前提としない社会のルールを、地域やコモンズ、民主主義の足元から編み直していこうとする実践。
一見異なる二つの現場は、同じ問いでつながっているようにも見えます。私たちは、未来の世代や人間以外の生態系から、何を預かっているのか。どこまでを、自分たちが考慮すべき「投資」の対象に含めるのか。そして、何を「十分」とするのか。
この問いを考えるうえで重要になるのが、「サフィシエンシー(Sufficiency:充足性、十分性)」です。サーキュラーエコノミーが「資源をどう循環させるか」を問うのだとすれば、サフィシエンシーは「その需要は本当に必要なのか」を問い、脱成長は「何を増やし、何を減らすのかを、誰がどう決めるのか」を問います。
▶️ なぜ効率化しても、暮らしが楽にならないのか。IPCC執筆者ヤミナ・サヘブ氏との「サフィシエンシー」をめぐる対話
今回のRefuturingでは、3daysofdesign、クラクフの脱成長会議、そしてサフィシエンシーをめぐる議論を横断しながら、Circular Economy、Sufficiency、Degrowthのあいだにある緊張と可能性を掘り下げます。
当日は、欧州現地で見えてきたデザイン、ビジネス、社会運動の潮流を共有したうえで、参加者の皆様とともに、循環経済のその先にある「未来を預かる」ためのデザインについて議論を深めていきます。
サーキュラーエコノミー、サフィシエンシー、脱成長、欧州動向、サーキュラーデザイン、公共デザイン、地域の自立、公正な移行に関心をお持ちの方は、ぜひご参加ください。
当日のイベントに関わるキーワード
本イベントは、下記キーワードに関心をお持ちの方におすすめです。
#サーキュラーエコノミー #サフィシエンシー #脱成長 #スチュワードシップ #未来への責任 #欧州動向 #公正な移行 #中東欧 #ウクライナ #民主主義 #グリーン移行 #需要削減 #効率化の限界 #ウェルビーイング #消費者から市民へ #コモンズ #公共性 #自然の権利 #サーキュラーデザイン #公共デザイン #修理 #長寿命化 #素材 #クラフト #3daysofdesign #デンマーク #意味あるデザイン #ポスト成長
参照サイト
- 3daysofdesign:Make This Moment Matter
- Degrowth: bridging green and just in Central and Eastern Europe
- World Sufficiency Lab
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イベント概要
イベント名:Refuturing: サーキュラーエコノミーは未来をどう預かれるか?循環・充足・脱成長から読み解く欧州最前線
日時:2026年7月30日(木)19:00-21:00(開場:18:50)
定員:30名(先着順)
言語:日本語
場所:オンライン(Zoomで配信いたします)
参加費用:
・一般:2,000円
・ニュースレター登録者:1,500円(7月中旬頃配信予定のニュースレター中のクーポンコードをご入力ください)
・Crcular Economy Hub 読者会員:1,000円(ログインの上、本記事最下部記載のクーポンコードをご入力ください)
・Circular Economy Hub コミュニティ会員:無料(Slackにて配信する無料クーポンコードをご入力ください)
・学生 1,000円(大学院生を除く。参加者情報記入フォームに学校名をご記入下さい。)クーポンコード:AFw7sdaP
お申込み:https://refuturing06.peatix.com
※コミュニティ会員・読者会員の詳細はこちら(コミュニティ会員へご参加いただくと、過去イベントのアーカイブ動画が無料でご覧いただけます。(一部を除く))
当日の流れ
- 19:00:オープニング・イントロダクション
- 19:10:インスピレーショントーク
- 「もっと」から「意味あるもの」へ。3daysofdesignから考える、未来を預かるデザイン:伊藤恵(IDEAS FOR GOOD)
- 「東」から学び直す脱成長──クラクフ会議が問いかけた、成長・民主主義・公正な移行:富山恵梨香(IDEAS FOR GOOD)
- 20:10:パネルディスカッション
- テーマ「Design for Stewardship:Circular、Sufficiency、Degrowthはどこで出会えるのか?」
- 20:40:質疑応答
- 20:55:クロージング
- 21:00:終了
※上記予定は変更する場合もございます。
スピーカー
伊藤恵(IDEAS FOR GOOD編集部、イギリス在住)

アーティクル欧州(旧ハーチ欧州)英国支部。ロンドン在住。一橋大学社会学研究科修了。学生時代は東京・シンガポール・香港などアジアのグローバルシティの公共空間・緑化空間について研究し、その後オフィスのインテリアデザインを手掛ける企業にてプロジェクトマネジメントに携わる。現在はIDEAS FOR GOODでのライティング・編集ほか、欧州現地でのリサーチ・プロダクト制作に取り組む。
富山 恵梨香(IDEAS FOR GOOD編集部、フランス在住)

2018年アーティクル(旧ハーチ)株式会社に入社、IDEAS FOR GOODで国内外の社会的企業への取材や記事の企画などを行う。IDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、展示や国内向け記事広告を担当。アーティクル欧州(旧ハーチ欧州)では、国際会議への参加やリサーチ、イベント、教育事業などに取り組む。関心テーマは、ウェルビーイングを実現する新しい経済のあり方。
加藤佑(アーティクル株式会社 代表取締役)

社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」創刊者。循環経済専門メディア「Circular Economy Hub」、横浜市における循環都市移行プラットフォーム「Circular Yokohama」を展開。企業・自治体・教育機関との連携によりサステナビリティ・循環経済推進に従事。ニッコー株式会社・社外取締役。大学院大学至善館 Circular Futures Design Center センター長・特命准教授。東京大学教育学部卒。
注意事項
■参加方法について
- 入室用URLは、開始1時間前までに、お申し込みいただいた皆さまへPeatixのメッセージよりお送りいたします。
- Zoomのご利用が初めての方は、開始前に一度アクセスしてご確認ください。機能に制限があるため、できるだけPCでのご参加をおすすめします。
- インスピレーショントークやパネルディスカッションの時間は、マイクをミュートにさせていただきます。
■アーカイブ動画について
- イベントは録画し、後日、お申し込みいただいた皆さまへアーカイブ動画を限定配信いたします(参加者同士のディスカッション時間は除く)。
- 当日ご参加いただけなかった場合も、同じようにアーカイブ動画をお送りいたします。ご都合が合わない方も、安心してお申し込みください。
- アーカイブ動画はチケットをご購入いただいた方への限定配信となり、イベント終了後の単体販売は行っておりません。
■資料・記録について
- 投影資料の配布はいたしません。
- 後日、Circular Economy Hubのレポートなどで、プログラム開催中の画面キャプチャを公開する場合がございます。
■お申し込み・その他
- お申し込み後のご返金はお受けしかねますので、あらかじめご了承ください。
- 時間配分は、事情により変更になる場合がございます。
- 領収書についてはPeatix内のこちらをご参照ください。
イベントシリーズ「Refuturing」について
Circular Economy Hub が展開する月1回のイベントシリーズ。持続可能な循環型の未来への移行を牽引するソートリーダーや実践者をゲストに迎え、多様な視点から直線的な成長の物語を問い直し、人間と自然、現在と未来との関係性を編み直すサーキュラーデザインのあり方を探索します。
Refuturing(リフューチャリング)とは?:気候危機や紛争などが複雑に絡まり合うポリクライシス(複合危機)を引き起こし、私たちから持続可能な未来を奪いつつある(Defuturing:デフューチャリング)既存の経済社会システムや制度、価値観を前提から問い直すことで、人と世界との関係性を修復し、あり得たかもしれない別の未来やより望ましい未来を再構築するための思考法や実践
主催
- Circular Economy Hub:Circular Economy Hubは、アーティクル株式会社が運営するサーキュラーエコノミー(循環経済)専門メディア&プラットフォームです。国内外のサーキュラーエコノミーに関する最新動向や事例、洞察、イベント、ワークショップなどを提供。日本と世界各地にいる編集部メンバーの専門的知見と国内外のネットワーク、実務経験から得られたノウハウを通じ、企業・自治体の皆様のサーキュラーデザイン、サーキュラービジネス、サーキュラーシティ移行を支援しています。
URL:https://cehub.jp - 自治体向けサーキュラーシティ移行支援:
・Circular City Transition Guide(サーキュラーシティ移行ガイド)
・Circular City Transition Indicator(サーキュラーシティ移行指標) - Artiql Inc.(旧社名ハーチ株式会社):2026年6月、ハーチ株式会社と株式会社フューチャーセッションズの合併により発足。メディアを通じて共感を生み出す「Product」、多様な主体と変化を生み出すプロセスを設計・実行する「Process」、人々が出会い、対話し、実践する場を育てる「Place」の3つの事業を連携させ、持続可能な社会への変化を支援する。世界中のクリエイティブな社会課題解決アイデアを届ける「IDEAS FOR GOOD」をはじめ、5つのメディアを通じて持続可能な未来への移行に取り組む。2023年4月にB Corpを取得。IDEAS FOR GOOD Business Design Lab では、欧州のパリ・ロンドン・アムステルダムで活動する Artiql Europe を通じて培った国際ネットワークと日本各地の地域ネットワークを活かし、サステナビリティ、社会変革、循環に関わる情報発信、コンテンツ制作・編集、リサーチ、展示、ワークショップ、イベント、共創スペース運営、人材育成、サービスデザイン、インパクト評価などを手がける。
URL:https://artiql.jp/
この記事は、Circular Economy Hub 会員専用記事となります。








