イオン株式会社と野村不動産ホールディングス株式会社(以下、野村不動産HD)は6月30日、サーキュラーエコノミー推進に関する連携協定を締結したと発表した。両社が関わるマンションや商業施設を拠点に、住民が日常生活の中で資源循環に参加できる仕組みを共同で作っていく。
イオンは1990年代から買物袋持参運動や店頭での資源回収に取り組んできた。2020年にはイオンプラスチック利用方針を策定し、2030年までに使い捨てプラスチック使用量を2018年比で半減させる目標などを掲げている。2021年からは使用済みペットボトルを新たなペットボトルへ再生する水平リサイクル「ボトルtoボトル」を進めており、今回の連携も既存の資源循環スキームを軸にしている。
一方の野村不動産HDは2022年に、2050年に目指す姿を示すサステナビリティポリシー「Earth Pride~地球を、つなぐ~」を制定し、2030年までの優先課題の一つに「サーキュラーデザイン」を位置づけた。建物解体時の廃棄物低減や家庭用廃食用油の回収、マンション入居者向けの環境教育プログラムなど、脱炭素につながる取り組みを進めてきた経緯がある。
協定では、
- ペットボトル水平リサイクルなどの資源循環モデルづくり
- 環境教育を通じて住民を巻き込む取り組み
- 住民の行動が実際にどう変わるかの研究
- その他サーキュラーエコノミー実現に必要な取り組み全般
の4つを連携事項に掲げた。前述のWAON連携の資源回収機は1番目にあたる具体策で、回収した資源はイオンの循環スキームを通じてトップバリュ商品へ再生される。
協定に基づく先行事例として、千葉県千葉市の「西千葉レジデンスアベニュー」が挙げられている。同施設は野村不動産グループが手がける旧東京大学西千葉キャンパス跡地の大規模複合開発で、約7.5万平方メートルの敷地に住宅・商業・公園などを一体整備するプロジェクトだ。2026年10月頃に竣工予定の分譲マンション(総戸数512戸)を中心に、街区内にはイオン傘下のスーパーのカスミが同年5月に開業している。ここでは、分譲マンション内にペットボトル自動回収機を設置し、回収量に応じて居住者にWAONポイントを付与し、カスミなどのイオン店舗での買物に利用できるようにする。あわせて、マンション居住の子ども向けに食育学習プログラムの体験会も開催する。
イオンは再生材確保を図るべく資源循環に関する協定を自治体とも重ねてきた。千葉市とは2011年の包括提携協定に基づく個別協定として、ペットボトルの水平リサイクルなどを盛り込んだサーキュラーエコノミー推進協定を締結しているほか、京都市とも2025年4月に連携強化を宣言している。今回の野村不動産HDとの協定は、自治体ではなく大手デベロッパーを相手に、マンションという生活の場を起点にした資源循環モデルを構築する点が特徴といえる。
マンションを拠点にした資源循環の取り組みとしては、三井不動産レジデンシャルが2023年からリユース事業者ECOMMITと連携し、東京・豊洲エリアのマンション共用部に不用品回収ステーションを設置している例がある。こちらは衣類などの不用品をリユース・リサイクル業者につなぐモデルであるのに対し、イオンと野村不動産HDの今回の枠組みは、ペットボトルを自社の店舗網・PB商品へと還元するという点で異なる。ただ、マンション居住者の生活動線に資源循環の接点を組み込む発想は共通している。
【参考記事】イオン株式会社「サーキュラーエコノミー推進に関する連携協定を締結」
【参考記事】サーキュラーエコノミー推進に関する連携協定を締結 ~イオンと野村不動産ホールディングスの2社による共創を推進~
【参考記事】野村不動産ホールディングス「既存建物解体時の廃棄物低減の取組」(2026年5月11日)
【参考記事】野村不動産ホールディングス「管理マンションでの家庭用廃食用油回収を開始」(2025年11月1日)
【参考記事】西千葉レジデンスアベニュー(PROUD公式サイト)
【参考記事】三井不動産「くらしのサス活 Circular Action」始動(参考:他社の類似事例)
【関連記事】三井不動産レジ、不要品回収対象を拡大。充電ケーブルやコンタクトレンズケース、推し活グッズも
【関連記事】三井不動産レジデンシャルとECOMMIT、大規模マンションに不用品回収ステーションを常設




