アラブ首長国連邦に本拠を置くラス・アル・ハイマ・アメリカン大学(The American University of Ras Al Khaimah、以下AURAK)の研究者らはこのほど、循環経済への移行を達成するには、起業家の価値観の変革が必要とする研究を発表した。

研究は『Entrepreneurial Business and Economics Review』に発表されたもので、AURAKの研究およびコミュニティサービス担当副学長であり、起業家精神およびイノベーションのディレクターTahseen Anwer Arshi 博士とビジネススクールの学部長Joseph Wallis が起業家の価値観と循環経済戦略採択との関係を分析した。

研究によれば、快楽追求や自己中心的な傾向のある起業家は、事業で循環経済戦略を採択せずにリニアエコノミーモデルを強化していることが明らかになった。大量生産・大量消費・大量廃棄のリニアエコノミーは、資源効率・廃棄物削減・資源の継続的なリユースを強調する循環経済の原則と対立するものだ。

同研究は、自己超越的な価値観と自己利益的な価値観のバランスを取るために、政策手段やマクロレベルの社会的介入が重要であると強調。自己超越的な価値観を促進する文化と規制的環境を育むことで、起業家の循環経済戦略採択を促進できるとしている。施策としては、対象を絞った教育・意識向上キャンペーン・政策改革が含まれ、起業家は自らの価値観を循環経済の原則と整合させ、最終的に持続可能でレジリエントなグローバル経済に貢献するだろうと研究者は期待している。

【参照記事】Adoption of Circular Economy demands transformation in entrepreneurial values: AURAK research
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