比マプア大学の学生Carvey Ehren Maigue氏が、太陽光から紫外線を吸収してエネルギーに変換する、作物残さをアップサイクルした窓「AuREUS」を開発した。AuREUSは、James Dyson Award 2020で今年新設されたサステナビリティ賞を受賞した。
この窓は、紫外線を吸収してソーラーテクノロジーを発展させ、持続可能な環境の創造に貢献したいという同氏の思いをもとに、オーロラの光からインスピレーションを得てつくられた。さらに、同氏は通常廃棄物と見なされる作物残さをアップサイクルすることで地元の農産業を支援し、農家の損失を軽減したいとしている。
AuREUSは、以下のように機能する。樹脂基板に果物や野菜から抽出した発光粒子を分散させ、窓の縁にPVセルを配置する。紫外線が当たると、発光粒子は紫外線を吸収して可視光を再放出し、可視光が直流電流に変換される。さらに、制御回路で出力電圧を調整すると、電池の充電や蓄電ができ、電気としても直接利用できる。
従来のソーラーパネルやソーラー窓などとの比較は、以下のとおりだ。
- 量子ドットソーラー窓:AuREUSはより安価な材料を使用している。同氏は、2019年に建物での使用における適用および機械・音響特性の試験を行っており、適用に関してはAuREUSの方が優れているとしている
- ソーラーパネル:AuREUSは、太陽の光が当たる向きに設置しなくても機能し、曇りの日でも紫外線散乱や、壁や舗装、その他の建物から反射したUV光で発電する。敷地面積が小さくてもAuREUSを使用でき、都市の高層ビルなどの使用に最適である
- 商用グレードの窓:建物で使用されているガラス被覆は、建物に当たる紫外線を反射する特殊なフィルムを使用しているため、外にいる人は紫外線を浴びる。AuREUSは紫外線を吸収するため、屋内と屋外の両方で人を保護する
同氏は、発光粒子の素材として78種類の地元の作物を試験し、9種類が適用に有望であるとしている。現在、発光粒子として使用している5色(赤、オレンジ、黄、緑、青)のうち、青色染料の代替品は完成しておらず、化学物質を使用している。そこで今後は、発光粒子における果物や野菜の割合を100%にするべく、研究を行っていく。同氏は毎月AuREUSを30パネル製造しているが、増産に向けたチームと施設創設のための資金提供を募っており、将来的には、太陽光発電を使った輸送車両のシャーシも開発していきたいとしている。
【参照サイト】AUREUS: AURORA RENEWABLE ENERGY & UV SEQUESTRATION
(※冒頭の画像はThe James Dyson Foundationより引用)