オーストラリア政府とオーストラリア包装協定機構(Australian Packaging Covenant Organisation、以下、APCO)は4月1日、同国における包装の新しい戦略的枠組みと2025年の目標を「Our Packaging Future(包装の未来)」と題したレポートで発表した。
現在、オーストラリア市場に投入されている年間550万トンの包装資材のうち、88%はリサイクル可能だが、次の用途のために回収されるのはわずか49%である。残り半分は埋め立て地、または陸上や海洋に流れるごみとなっているのが実状だ。
APCOは200以上の団体の協力のもと、包装をめぐる同様の課題を分析してきた。その改善目標を「The 2025 Target(2025年ターゲット)」として次のように示している。
- 包装資材を100%再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能にする
- プラスチック製包装の70%をリサイクル可能、または堆肥化可能にする
- 全包装資材のリサイクル材含有量を平均50%にする
- 問題のあるものや不必要な使い捨てプラスチック包装を段階的に撤廃
包装資材のリサイクル材含有率や回収率は、原料によって大きく異なる。リサイクル材含有率は全原料を平均すると35%だが、プラスチックに限定するとその数値は2%まで低下する。回収率はガラスが46%、金属は48%、紙は63%と、半分近くもしくはそれ以上が回収される一方で、プラスチックは16%とこちらも極端に低下する。
同レポートでは「The 2025 Target(2025年ターゲット)」の達成に必要な取り組みとして、次の3つを紹介している。
- 循環型サイクルを意図して設計された包装資材
- 包装資材の回収とリサイクルシステムの改善
- 使用済み包装資材の市場拡大
これらの実現に向け、すでに消費者に対する啓蒙キャンペーンや地域社会での廃棄物回収、リサイクル材のトレーサビリティ、堆肥化可能なパッケージ開発などのプロジェクトが計画中だ。この取り組みを成功させるためには、政府やAPCOとともに、バリューチェーンのステークホルダーを含めた異なる組織が協働で推進していく必要があると言及している。
幸いなことに、この発表は大手ブランド・企業連合・廃棄物・リサイクル業界などバリューチェーン全体から歓迎されているようだ。2025年ターゲットに向け、各団体が連携し目標を目指していく動きに今後も注視していきたい。
【参照記事】Our Packaging Future report launches to outline critical steps required to deliver Australia’s 2025 National Packaging Targets
【参照レポート】OUR PACKAGING FUTURE -A COLLECTIVE IMPACT FRAMEWORK TO ACHIEVE THE 2025 NATIONAL PACKAGING TARGETS-
【参考記事】Education vital for circular waste economy