経済産業省 産業構造審議会 産業技術環境分科会 資源循環経済小委員会 CEコマースワーキンググループは8月27日、第1回会合を開催した。この会合では、資源の有効な利用の促進に関する法律におけるCEコマース(シェアリング、リユース等)に関する調査・審議を開始し、CEコマース事業者に係る判断基準やビジネス拡大に向けた施策について議論した。
現行制度では、シェアリングやリユースといったCEコマースを健全に育成するための適切な規律が存在せず、不適切なビジネスによるトラブルが発生している。この課題に対応するため、2023年度に成立した「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」に基づき、資源有効利用促進法の改正ポイントとしてCEコマースの促進が挙げられている。今回のワーキンググループは、この法改正の具体化に向けた議論の場となる。
CEコマースは、「物品の利用頻度(稼働率・期間)を増やす」および「物品の寿命を延ばす」等を通じてサーキュラーエコノミーに貢献するビジネスと定義された。具体的には、シェアリング、レンタル、リースといった稼働率向上を目的とするサービスや、リペア・メンテナンス、クリーニング、リメイク、リマニュファクチュアリング、リファービッシュ、中古品販売といった寿命延長を目的とするサービスがスコープに含まれる。
対象製品の選定においては、環境インパクト、CEコマースの市場規模・成長余地、資源循環のポテンシャルの3つの観点から絞り込みが行われた。B2C(企業対消費者)中心の製品としては、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機といった「家電4品目」と「一般衣料品」が提案された。一方、B2B(企業間取引)中心の製品では、「複写機」と「オフィス家具」が対象として挙げられた。
資源循環促進のための取組指針については、EUタクソノミーを参考に項目が整理された。基本的な項目案として、稼働率向上、利用期間の延長、製品寿命の延長、資源循環に配慮した製品の調達、包装材のリサイクル・リデュース配慮といった「取組の高度化」に関する項目と、安全性の確認、契約・販売時の保証・情報提供、ユーザーの資源循環に資する行動に繋がる情報提供、使用済み製品や部品の適切な引渡しといった「健全な市場の整備」に関する項目が検討された。さらに、賃貸(レンタル・シェアリング、リース)、中古販売、修理・加工(リペア・メンテナンス・レストア・クリーニング、リメイク・リノベーション、リマニュファクチュアリング・リファービッシュ)といった事業形態別の項目案も示された。
経済産業省は、CEコマース事業者の類型を新たに位置づけ、資源の有効活用や消費者の安全確保に資する判断基準を設定することで、健全なCEコマース市場の育成と資源循環の促進を目指す。第2回CEコマースワーキンググループは2026年1月頃に開催される予定だ。
【参照記事】第1回 産業構造審議会 産業技術環境分科会 資源循環経済小委員会 CEコマースワーキンググループ
【参照資料】(開催資料)事務局資料[PDF]
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