経済産業省中部経済産業局は7月17日、中部地域の基幹産業である自動車産業におけるサーキュラーエコノミー移行を実現するためのアクションプランを公表した。中部経済産業局では同日、2023年度「中部地域におけるサーキュラーエコノミー移行の加速に向けた調査事業」の報告書も公表している。延べ80社以上の静脈企業へのヒアリングを通じ、再資源化の現状把握と水平リサイクルに向け課題を整理。静脈側目線で整理された課題について、自動車メーカーとも意見交換を行い、動脈側目線も合わせたアクションプランを作成した。

サーキュラーエコノミーへの移行が急務となる中、自動車産業では、欧州でELV(使用済み車両)規則案が発出され、自動車メーカーも樹脂をはじめとした資源循環の取り組みを加速させている。アクションプランの作成にあたり、水平リサイクルに向けた課題を整理し、動脈側と静脈側それぞれの視点を踏まえ、課題の難易度を考慮している。

アクションプランは、現状からのフォアキャストと理想像からのバックキャストにより課題を抽出し策定。「再利用(Car to Car)を想定した『回収・選別・再利⽤』の質と効率向上を重視したものづくり(循環配慮設計)」「再利用(Car to Car)を想定した『回収・選別・再利用』の質と効率向上を実現(動静脈連携による技術・体制の構築)」「再生資源を活用して製造、品質保証をする体制構築と業界の発展」の三点を掲げ、短期(2030年まで)、中期(2035年まで)、長期(2035年から2050年まで)に整理した。

今年度は、本プランをもとに、企業単独では解決が困難な中期的課題について、動静脈双方による課題と取組の方向性の共有を図るとともに、資源循環の実現のため具体的なアクションの検討を開始する。また、経済産業省本省、サーキュラーパートナーズ、業界団体等へ提言し、サーキュラーエコノミーへの移行を促す環境を作っていくとしている。

【プレスリリース】自動車産業のサーキュラーエコノミー移行に向けたアクションプランをまとめました~中期的(概ね2035年)視野で具体的なアクションの検討を開始~
【参照記事】令和5年度「中部地域におけるサーキュラーエコノミー移行の加速に向けた調査事業」調査報告書を作成しました
【関連記事】経産省中部経済産業局「中部地域におけるサーキュラーエコノミー移行の加速に向けた調査事業」の調査報告を公表
【関連記事】自動車リサイクル促進センターが2024年度事業計画を策定。リサイクル、適正処理の促進に注力
【関連記事】自動車リサイクルの再生材利用拡大に向けた技術実証がスタート。産学連携で自動車産業のサーキュラーエコノミー実現を目指す