国際的な建築エンジニアリング企業の英アラップ(Arup)とエレン・マッカーサー財団はこのほど、循環型でネイチャーポジティブな建築環境への移行を加速することを目的とした官民による団体、the Built Environment Circular Leaders Group(以下CLG)を立ち上げた。加盟組織のコラボレーションを促すため、プラットフォームを通じて知識とスキルを共有し、変化を推進する影響力の大きい事業の開発を目指す。

グループには、仏Axa、米Biomimicry 3.8、米Bjarke Ingels Group、Cemex(メキシコ)、仏Danone、Dorte Mandrup Architects(デンマーク)、Holcim(スイス)、米ICLEI、Metsä Group(フィンランド)、独Peiner Träger GmbH、仏Saint Gobain、Urban Partners(デンマーク)、VELUX(デンマーク)など、建築環境のバリューチェーンで活動する官民の組織が含まれる。

CLGは、循環型ビジネスモデル・保険・政策と規制・資産の改修と転用・低インパクト素材・再生可能でネイチャーポジティブな設計を重視。メンバーのコラボレーションを可能にする革新的な事業を特定するため、月例のサーキュラー・イノベーション・セッションのほか、革新的事業の実現と紹介、サーキュラーデザインと新たな連合の形成という3つを中心とした活動プログラムを展開する。

10月初旬にパリで開催されたキックオフワークショップでは、建築環境における循環性を高めるための方法について議論された。このほか、既存のバリューチェーンが自然のリユースモデルから学ぶべきことや、材料や製品の生産者と所有者にとっての長期的なライフサイクル全体像を採用する誘因の特定が新たな課題として挙げられた。

このイニシアチブは、もう一つの旗艦プログラムであるCircular Building’s Coalitionと連動しており、CLGメンバーにも成果を還元していくことになる。また、エレン・マッカーサー財団が最近実施した調査で、デザインによってネイチャーポジティブで再生的な循環経済の価値を実証した「Building Prosperity」にも基づいたものである。

【参照記事】Arup & Ellen MacArthur Foundation convene Circular Leaders Group to accelerate circular economy transition

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