米国サーキュラーエコノミー専門の投資会社Closed Loop Partnersは12月15日、生物由来のプラスチックとバイオポリマー、堆肥化可能な製品と容器包装に焦点を当てて、いま急成長している代替プラスチックの展望に関するレポートを発表した。
イノベーターや企業、および投資家向けに指標の枠組みを提供する同レポートは、原料の持続可能な調達と寿命を迎えた製品の回収経路を考慮して、これらの代替材料に関する業界における機会と課題を明らかにする。さらに、意図しない結果を回避するために、より多くの調査と厳密な試験の実施を呼びかけている。
現在、世界のプラスチックの9%のみがリサイクルされ(※1)、毎年1,100万トンのプラスチック廃棄物が海洋に流出しており(※2)、人と地球、および企業に負荷を与えている。これを受けて、消費者と監督機関は、企業に対して製品と容器包装を廃棄物削減と気候目標に沿わせるように促している。この圧力により、企業はプラスチックを含まない製品を実装し、リサイクル不可能なプラスチックから、容器包装における再生材含有量を増やすという野心的な約束を行うようになった。これが、石油由来の使い捨てプラスチック廃棄からの急速な移行に拍車をかけた。製品や容器包装内のプラスチックを削減・再利用・リサイクルする戦略が展開されるにつれて、多くの企業が生物由来のプラスチックとバイオポリマー、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)とポリ乳酸(PLA)などの堆肥化可能な代替品を模索している。
堆肥化可能な容器包装は、認証基準に従って配合されて使用後に適切に回収された場合、炭素隔離や栄養豊富な堆肥製造によりクライメート・ポジティブに貢献し、生ごみ廃棄を削減する。堆肥化可能な容器包装は急速な成長をもたらしている。バイオポリマーと生物由来のプラスチック市場は、2020年の105億ドル(約1兆円)から2025年には279億ドル(約2兆8,000億円)近くに達し(※3)、生産量は2020年の210万トンから2025年には280万トン以上になると予測されている(※4)。
しかし、堆肥化可能な代替品がすべてを解決できるわけではなく、大量に市場に導入され始めると、その価値を効率的に取り戻す十分なインフラが存在しない。米国では、食品廃棄物を受け入れる本格的な商業用堆肥化施設は185施設のみで、堆肥化可能な認証済み容器包装を受け入れる施設はさらに少ない。堆肥化可能な材料はすでに既存のインフラの容量を上回っているため、将来さらに大量の堆肥化可能な容器包装が廃棄されないようにするために、生産と寿命の不整合に対処することが非常に重要だ。
最終的に、バイオポリマーと堆肥化可能な代替物は、多くのプラスチック廃棄物削減戦略において調整されなくてはならない。これらは、削減・再利用後の廃棄物に対する一つの防御線として非常に特殊な役割を果たし、特定の形式と背景でのみ展開して有機物処理装置に価値をもたらす必要がある。
同社のサーキュラーエコノミーセンター長であるケイト・デイリー氏は「当レポートは、成長している堆肥化可能な容器包装の分野に関するいくつかの盲点に光を当て、再利用・リサイクル・堆肥化可能な容器包装が最も適切であるかどうかについて情報に基づいた決定の基礎を築きます」と語っている。
※1:Production, use, and fate of all plastics ever madeより
※2:Evaluating scenarios toward zero plastic pollutionより
※3 :Bioplastics & Biopolymers Market worth $27.9 billion by 2025より
※4:Market update 2020: Bioplastics continue to become mainstream as the global bioplastics market is set to grow by 36 percent over the next 5 yearsより
【プレスリリース】Closed Loop Partners Publishes First-of-Its-Kind Report to Navigate Plastic Alternatives in a Circular Economy
【参照】Production, use, and fate of all plastics ever made
【参照】Evaluating scenarios toward zero plastic pollution
【参照】Bioplastics & Biopolymers Market worth $27.9 billion by 2025
【参照】 Market update 2020: Bioplastics continue to become mainstream as the global bioplastics market is set to grow by 36 percent over the next 5 years