サーキュラーエコノミーをデザインするプロジェクトやアイデアを表彰するグローバルアワード「crQlr Awards(サーキュラー・アワード)」。2025年2月6日、2024年度の受賞作品が発表された。
同アワードは、国内初のサーキュラー・デザイン分野のアワードとして、2021年にスタートした。循環型経済の実現を目指す⼤規模なプロジェクトから計画中のアイデアまでを募集し、審査・表彰するとともに、持続可能な経済システムづくりを目指すプレイヤーたちが業界や国を超えてつながることで、新たな価値を創出するコミュニティの形成を目指している。
4回目の開催となった2024年は、47カ国から143のプロジェクトがエントリーされ、29点が審査員賞、3点が特別賞を受賞した。特別賞のテーマは、「『サーキュラーバイオエコノミー』の実現に向けて」。自然とテクノロジーの力を取り入れながら、生物学的プロセスを活用することで、資源の循環や環境保全を革新的に再構築するアプローチに焦点が当てられた。(審査員賞受賞作品の詳細)
また、2025年3月6日(木)〜3月26日(水)まで、受賞プロジェクト展「crQlr Awards Exhibition Tokyo-Living Loops 生きている環」が渋谷のFabCafe Tokyoで開催される。受賞プロジェクトに加え、2021年から始まった「crQlr Awards」のバイオエコノミーに関する取り組みをはじめとした、これまでの受賞プロジェクトや成果なども展示される。
特別賞受賞・展示プロジェクト
「土に還る」循環型センサデバイス
使用後に自然に分解し、地球に還元される生分解性の土壌センサー。最先端技術と持続可能なデザインを融合させ、電子デバイスがゼロウェイスト社会に適合する可能性を示している。
「このプロジェクトは、増大する電子廃棄物(e-waste)の問題に対し、環境モニタリングという重要な機能を実現しながら、深く考え抜かれたアプローチを示しています。「土に還る」セルロースナノファイバー製のセンサーというコンセプトは、持続可能性と機能性という二つの課題に対する極めて説得力のある答えです。植物由来の材料によって実現される、自然に分解されるセンサーは、循環型経済の理念に見事に合致しており、電子廃棄物を生み出す従来のセンサーに対し、意味のある代替手段を提供しています」(Cecilia Tham|Futurity Systems CEO兼共同創業者)

Piss Soap
人間が排出する廃棄物(使用済みの食用油、人尿、木灰)を原料として作られた石鹸。気候変動対策や循環型経済取り組むための地域的かつ共同体的な取り組みで、「ケア」「コミュニティ」「地域解決策」を重視している。
「Piss Soapの成功は、廃棄物の問題に取り組むと同時に、人間の排出物が現在そして未来にどのように有益となり得るかについて、意味のある対話を生み出すことにかかっています。このプロジェクトは、私たちが日常で接する素材の成り立ちや背景、そしてそれにまつわるタブーを理解することの重要性を強調しています。この視点を通じて、Piss Soapは状況や文脈に配慮した素材やソリューションをデザインすることを目指しています。この取り組みは、人間の排出物を再利用する方法を提供するだけでなく、私たちが身の回りの素材とどのように向き合うべきか、そしてそれに付随する偏見やスティグマを見直す貴重な機会をもたらしています」(Maël Hénaff|セントラル・セント・マーチンズ(ロンドン芸術大学)MAマテリアル・フューチャーズ課程主任より)

BIO-MOON Lab
発光する細菌「ビブリオ・フィッシェリ」を培養皿や液体溶液で育成し、従来の人工照明に代わる持続可能な選択肢として「バイオライト」の開発を目指すプロジェクト。アート、持続可能性、科学的探求を融合させた革新性が評価された。
「Bio-Moon Labは、電気に代わり生物発光の儚い輝きで世界を照らすという、ビジョナリーな革命を巻き起こします。この画期的なイノベーションは、従来のエネルギーシステムの限界に挑戦し、最先端の科学と自然界をつなぐ調和の架け橋を築いています。生物システムの力を活用することで、Bio-Moon Labは、光が単なる機能ではなく芸術の一形態 となる持続可能なバイオ時代を構想しています。その取り組みは、照明を環境に配慮した、視覚的にも美しいソリューションへと変貌させ、デザイン、テクノロジー、そして自然が美しく共存する未来への希望を示しています。持続可能なイノベーションの象徴として、Bio-Moon Labは無限の可能性を照らす一筋の光となっています」(Kalaya Kovidvisith|FabCafe Bangkok 共同創業者)

受賞プロジェクト展 概要
- イベント名:「crQlr Awards Exhibition Tokyo-Living Loops 生きている環」
- 日程:2025年3月6日(木)〜3月26日(水)
- 時間:10:00〜20:00
- 会場:FabCafe Tokyo(東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア1F)
- 主催:FabCafe Global、株式会社ロフトワーク
- 協賛・メディアスポンサー:IDEAS FOR GOOD、Circular Economy Hub
- URL:https://fabcafe.com/jp/events/tokyo/crqlr-exhibition-2025-tokyo/

【参照サイト】「crQlr Awards 2024」結果発表!最前線のサーキュラー・デザインが集結する受賞プロジェクト展「crQlr Awards Exhibition 2025」の開催も決定
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※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「IDEAS FOR GOOD」からの転載記事となります。
