環境省は9月20日、令和6年度ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業の実施自治体の決定を発表した。環境省は、海洋ごみ対策の強化を目的とし、自治体と企業が連携して海洋ごみの回収・発生抑制に取り組むモデル事業を認定し推進する。今回、新たに静岡県静岡市と佐賀県唐津市の2自治体が選ばれ、1次、2次で決定した自治体を含む計7自治体に対して、有識者派遣などの支援が行われる。

海洋ごみ対策は、「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」等に基づき、回収や処理など様々な対策が講じられてきた。しかし、より一層の推進には企業の先進技術と創意工夫の活用が不可欠だとし、自治体と企業が連携した取り組みを支援している。

選定された自治体には有識者が派遣され、最大1,500千円の支援が提供されるほか、事業プランの作成、連携体制の構築、効果・課題の検証などのサポートが行われる。

自治体の取り組み内容

  • 静岡県静岡市:株式会社BANDAI SPIRITSや海岸清掃団体と協力し、プラモデルを題材にした海洋プラスチックごみ問題を学ぶモデル授業を実施する。この取り組みは全国の小中学校に発信される予定。
  • 三重県大台町:IXホールディングスなどが協力し、宮川の水質維持のためにダム湖のごみを回収するプラスチックフィッシング大会を実施。収集したプラごみをアップサイクルする事業を展開する。
  • 三重県度会町:度会町は、学校や地域団体と連携し、「資源ごみ分別マイスター養成講座」や「河川清掃」を実施。資源循環の考え方を普及し、持続可能な地域づくりを推進する。
  • 兵庫県:同県小野市では、エフピコと地元小売企業が協力し、海洋ごみ対策に関する授業や、リサイクル食品トレーのデザインを考案するセミナーを開催。回収トレーの水平リサイクルに取り組む。
  • 奈良県生駒市、長崎県対馬市(共同申請):環境教育と海洋プラスチックごみ削減を目指した授業パッケージを作成し、地域の児童・生徒に対する意識醸成と行動変容を促進する。
  • 愛媛県今治市:海洋ごみ問題対策として海岸清掃活動や希少動植物の保護を行う。デジタル通貨の導入実証等と併せ、地域団体と連携した多面的な普及啓発を推進する。
  • 佐賀県唐津市:ダイバーや漁業者と協力し、海洋ごみ回収や「アマモ」の種苗投入イベントを実施し、海洋生物への影響に関する理解を深める啓発活動を行う。

各自治体と企業の連携により、それぞれの地域特性に基づいた海洋ごみ対策が加速し、各自治体の事例が全国に波及することが期待されている。

【プレスリリース】令和6年度ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業の実施自治体の決定について(3次募集)
【参照記事】令和6年度ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業実施自治体
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