一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンとミュージックセキュリティーズ株式会社は12月12日、両社が設立したインパクト投資ファンド「フィッシャーマンジャパン・ブルーファンド」から、株式会社ベンナーズ(福岡市)、株式会社REMARE(三重県鳥羽市)の2社に投資を行ったと公表した。
同ファンドは、海を守りつつ利用することで経済や社会全体の持続可能な発展を目指す「ブルーエコノミー」の推進を目的に、2023年に設立された。経済的なリターンの実現と、投資を通じた社会的課題の解決を目指す、インパクト投資を行っている。
投資対象となる事業は、海洋環境保全を目的とした海のDX化、サステナブルな養殖エサの開発、海洋プラスチックの回収・リサイクル、海のサーキュラーエコノミーの実現、サステナブルシーフードの流通販売など。
フィッシャーマン・ジャパンは2014年設立。宮城県石巻市を拠点に、三陸の海から水産業に「新3K」(カッコいい、稼げる、革新的)をもたらすため活動している。水産業の担い手育成などに加え環境問題にも取り組んでいる。
「日本近海の海面水温は上昇、海流の位置が変動し、海藻が繁茂しなくなる磯焼け現象も深刻。その影響で日本の水産業も危機的な状況にある。この事態をあと数年放置すれば、国内水産業の崩壊と、海洋環境への不可逆的なダメージが懸念される」と警鐘を鳴らす。海洋環境に対する危機感が、ブルーエコノミーに関心を持つ企業に資金的な支援を行う同ファンドの設立に繋がった。
フィンテック企業のミュージックセキュリティーズが構築したインパクト投資プラットフォーム「セキュリテ」を利用し、フィッシャーマン・ジャパンがブルーエコノミーに取り組む投資先企業を選定。ミュージックセキュリティーズが投資先の財務状況などの審査や投資家の勧誘を行う。
第一弾の投資先に選定されたベンナーズは、さまざまな理由で廃棄されてきた「未利用魚」をミールキットとして販売。乱獲や水産資源枯渇問題への解決策を提案する。イスズミやアイゴといった磯焼けを引き起こす「食害魚」の商品化にも成功し、ビジネスモデルの全国展開を目指す。
また、もう一つの投資先であるREMAREは、海洋プラスチック(海プラ)ごみ問題の解決を目指すベンチャー企業。海プラごみを独自の技術で加工・処理し、デザイン性の高い什器としてアパレルブランドなどに販売する新ビジネスを展開する。
海洋環境の保全に特化したインパクト投資のスキームは国内でもめずらしく、「本プロジェクトが普及・拡大すれば、国内におけるブルーエコノミー推進のモデルケースの一つになる」として、フィッシャーマン・ジャパンは投資家の開拓を進めていく方針だ。
【プレスリリース】海の危機的状況を救う。インパクト投資ファンド「フィッシャーマンジャパン・ブルーファンド」が本格始動!
【参考記事】フィッシャーマンジャパン・ブルーファンド
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*画像の出典:フィッシャーマンジャパン・ブルーファンド