株式会社エンビプロ・ホールディングスは8月13日、子会社の株式会社ブライトイノベーションとともに、荏原環境プラント株式会社が千葉県袖ケ浦市で進めるケミカルリサイクル実証事業において、原料となる廃プラスチック類の供給および管理業務を開始したと発表した。
この実証事業は、荏原環境プラントの独自技術である「ICFG®内部循環流動床ガス化システム(ICFG技術)」を用いて廃プラスチック類を熱分解し、生成される油やガスがプラスチックの製造原料として再利用可能であることを実証するものだ。1日あたり約1トンの処理能力を持つ実証プラントを稼働させ、将来的な事業化に向けた技術検証やシステムの最適化、事業性の確認などを行う。
本事業の大きな特徴は、比較的清浄な廃プラスチックだけでなく、建築廃材などに含まれる汚れたものまで、多様な品質の廃棄物を処理対象としている点だ。これにより、従来はマテリアルリサイクルが困難であった低品質の廃プラスチックを資源化する道を開くことが期待される。
エンビプログループは、この事業において原料の安定的な調達と供給管理を担う。これは、業務プロセスの一部を外部の専門企業に委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の一環であり、同社の廃棄物管理に関する知見が活かされる。安定した原料供給は、ケミカルリサイクル技術の社会実装において不可欠な要素だ。
なお、本事業は、荏原環境プラントが環境省の「令和5年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素型循環経済システム構築促進事業」に採択されたものであり、国の政策とも連携している。エンビプログループは今後、荏原環境プラントと協力し、実証で得られた知見を基に、広く産官学と連携しながらケミカルリサイクルの社会実装に向けたスキーム構築を進めていく方針だ。
【プレスリリース】ケミカルリサイクル実証事業にて廃プラスチック類の原料管理業務(BPO)を開始
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