EU理事会と議会はこのほど、森林破壊防止規則の事業者への適用を1年延期することで合意した。同規則はEU内の森林を伐採した土地から調達した製品の販売を禁止するもので、2024年末からの適用を予定していた。しかし、EU加盟国や非加盟国の事業者から完全な遵守が困難であるとの懸念が示されてきたことを受けて、欧州委員会は同規則の適用を1年延長するよう提案していた。
国連食糧農業機関(FAO)の推計によれば、1990年から2020年の間にEUの面積を超える4.2億ヘクタールの森林が失われている。EUによる消費は世界の森林伐採の約10%を占め、パーム油と大豆が3分の2以上を占めている。
2023年4月19日に議会で可決された森林伐採規則は、EUの消費に関連する牛肉、カカオ、コーヒー、パーム油、大豆、木材、ゴム、木炭、印刷紙のための森林伐採を防ぐことを目的とし、2023年6月29日から施行された。事業者には2024年12月30日から適用される予定だったが、2025年12月30日からに変更された。中小企業及び零細企業には2026年6月30日から適用される。
延期した期間内に、委員会は情報システムとリスク分類を整備する。また、2028年6月30日までに予定されている規則の一般的な見直しの中で、事務負担を軽減し、簡素化する追加措置を検討。さらに、低リスク国や地域に対する影響評価と簡素化を見直し、森林保全の実践を改善するインセンティブも検討する。
今後は、議会の本会議(12月16日から19日)で共同立法機関間の非公式合意に関する投票が行われる。合意された文書が議会と理事会の両方によって承認され、年内にEU公報に掲載後に延期が発効する。
【プレスリリース】Deforestation law: agreement with Council gives companies extra year to comply | News | European Parliament
【関連記事】EU理事会、世界の森林減少抑制に向けた新規制を採択
【関連記事】WBCSD、森林破壊ゼロ目標の実装・管理ガイドを刊行。金融機関向け
【関連記事】プラチナ構想ネットワーク、森林循環経済を目指す「ビジョン2050」のロードマップを公表
【関連記事】英政府、森林保護に向けた新法を発表。違法な森林伐採に関連する製品を禁止へ