フィンランドのラハティ市は、2021欧州グリーン首都賞を受賞した。同市では1月22日から1月24日まで、環境認証を受けたFISノルディックスキーワールドカップ・ラハティ大会が開催され、欧州のグリーン都市としての一年を開始した。

欧州グリーン首都賞は欧州委員会が2008年に創設した賞で、環境改善と持続可能な都市生活を牽引する都市を毎年表彰している。人口約12万人(※1)のラハティ市はフィンランド南部にある湖畔の街で、首都ヘルシンキから北東約100kmに位置する。これまでに欧州グリーン首都賞を受賞した都市のなかで最も小さく、最も北にある街で、今回、持続可能な都市構築を目指した取り組みが評価された。同市は石炭使用を廃止しており、2025年までにカーボンニュートラルに、2050年までに廃棄物ゼロの循環型経済都市となることを目標としている。家庭ごみの99%以上をリサイクルし、暖房にはリサイクル燃料と地元の認証を受けた木材を使用しており、温室効果ガス排出は1990年と比べて70%削減した。

同市はスポーツの街として世界的に有名で、これまでにFISノルディックスキーワールドカップを7回開催し、世界記録となっている。今年1月に開催されたFISノルディックスキーワールドカップ・ラハティ大会は、環境保護の認定を受けた大会で、グリーン首都の年間プログラムの一つであった。同大会の特別テーマは安全と衛生で、観客へのチケット販売はなく、飲食はすべて環境に配慮したリサイクル・堆肥化可能な段ボールを使用した容器で提供され、ごみはすべてリサイクルされた。

そのほかにも同市は、以下の3つの環境に配慮したスポーツの取り組みを実施している。

  • シティスキー:市が無料でスキーを貸出し、スキーで市内移動できる。FISノルディックスキーワールドカップ・ラハティ大会が始まった1月22日から試験導入を開始した。スキーはフィンランドで幅広い世代に親しまれている
  • アイスホッケー:地元のホッケーチームLahti Pelicansは、フィンランド初のカーボンニュートラルなホッケーチームになることを目指している。アイスホッケーもフィンランドの国民的スポーツである
  • デュアスロン:グリーン首都の2021年のプログラムの一つとして「バルテリ・ボッタス・デュアスロン」がラハティ地域のナストラで開催される。同デュアスロンはカーボンニュートラルなスポーツイベントになることを目指しており、年間を通して行われる大小さまざまな環境活動に注目する。熱心な自然愛好家として知られる、ナストラ出身のF1ドライバーであるバルテリ・ボッタス氏が一年間グリーン首都のアンバサダーを務める

出典:フィンランド政府観光局

Visit Lahti(※2)の最高経営責任者(CEO)でラハティスキークラブの役員でもあるRaija Forsman氏は、「ラハティ市は市民がカーボンニュートラルな生活を送りやすい街です。市民一人ひとりが移動手段で排出取引できる(※3)世界で初めての都市で、環境に配慮して移動しやすい環境を整備しています。サステナブルな交通手段である徒歩や自転車、公共交通機関を人々が選択することを推奨しており、「シティスキー」の事例もあるように、スキーも移動手段のひとつになります」と述べている。

カーボンニュートラルと廃棄物ゼロの循環型経済都市を目指して、街の特色を活かした持続可能なモビリティの促進やイベント開催などを市民とともに実現する同市の取り組みは今後、多くの街に刺激を与えていくだろう。

※1:LAHTI European Green Capital 2021より
※2:ラハティ・フィンランド湖水地方・ヘルシンキ地域でマーケティングと販売を行う地域機関
※3:ラハティ市は、個人の炭素取引モデルとモビリティ排出量に取り組むためのモバイルアプリを開発し、2020年春に導入を開始した。持続可能なモビリティモードを選択することで、ユーザーはアプリの特典やサービスと交換できる仮想ユーロを獲得できる

【プレスリリース】フィンランド・ラハティ市がヨーロッパの2021グリーン首都賞を受賞(フィンランド・ラハティ市がヨーロッパの2021グリーン首都賞を受賞
【参照サイト】LAHTI European Green Capital 2021
【参照サイト】About EGCA

*冒頭の画像の出典:フィンランド政府観光局