カナダ政府はこのほど、特定プラスチック使用製品の製造と輸入を禁止する規制を2022年12月に施行すると発表した。

同規制策定に至った背景は、カナダで多くの使い捨てプラスチックが使用されていることにある。カナダでは、プラスチック製ごみ袋が毎年最大150億枚、使い捨てプラスチック製ストローが毎日約1600万本使用されている。同政府によると、こうした使い捨てプラスチックは、カナダ全土の海岸に散乱するプラスチックごみの大部分を占めている。

同規制により、買物袋・カトラリー・問題のあるプラスチック(発泡ポリスチレン、押出法ポリスチレンフォーム、ポリ塩化ビニル、カーボンブラック、オキソ分解性プラスチック)で作られた、またはそれを含む食料および飲料用容器(カップ・ボウル・箱・皿・二つ折りの容器・蓋付き容器)・リングキャリア・マドラー・ストロー(医療などでの使用を除く)の製造と輸入が禁止される。

買物袋・カトラリー・食料および飲料用容器・マドラー・ストローの製造と輸入は2022年12月から、販売は2023年12月から禁止される。リングキャリアと飲料容器に封入されるストローの製造と輸入は2023年6月から、販売は2024年6月から禁止される。2025年末までには、これら6種類の特定プラスチック使用製品の輸出も禁止される。

今後10年間で同規制施行により、リサイクルが困難なプラスチック廃棄物が130万トン以上、プラスチック廃棄物が2万2000トン以上(ごみ袋100万枚に相当)削減されると政府は推定している。加えて、プラスチックの循環型移行は、炭素排出量を年間180万トン削減し、数十億ドルの収益を生み出し、2030年までに約4万2000人の雇用を創出する可能性があるとしている。

政府は同時に、2つのガイダンス文書「規制対応について企業を支援する文書」と「使い捨てプラスチックのより持続可能な代替品の選択についてカナダの企業と国民を支援する文書」も発行した。

プラスチック問題に対処するべく、EUをはじめとする国々が取り組みを進めており、日本も「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を4月に施行した。加えて、2022年3月に開催された国連環境会議(UNEP)において、プラスチックごみに関する法的拘束力のある国際条約を2024年までに策定する決議案が採択された。今後の世界におけるプラスチック対策の動向が注目される。

【プレスリリース】Government of Canada delivers on commitment to ban harmful single-use plastics
【参照サイト】Single-use Plastics Prohibition Regulations – Overview
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