旭化成、旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウス、CFPの5社は11月10日、住宅の建築現場で発生する給水給湯管の施工端材を回収し、再生製品として再び施工現場に戻す資源循環スキームの構築に向けた取り組みを開始したと発表した。業界を超えた連携により、これまでリサイクルが困難であった建材のクローズドループ(閉じた循環)を目指すもので、2026年3月末の運用開始を予定している。

このスキームの対象となるのは、積水化学工業が製造する架橋ポリエチレン管「エスロペックス」だ。耐熱性や耐久性に優れることから、多くの住宅で給水・給湯配管として使用されている。今回の取り組みでは、まずプレハブ住宅メーカーである旭化成ホームズ、積水化学(住宅カンパニー)、積水ハウスの3社が、建築現場で発生する施工端材を回収する。その後、ケミカルリサイクルを手がけるCFPが回収された端材を化学的に分解して再生油を製造。この再生油から生成された再生エチレンを元に旭化成が再生ポリエチレン樹脂を製造し、再び積水化学が「再生エスロペックス」として製品化する流れだ。

架橋ポリエチレンのような複合素材は、物理的に破砕して再利用するマテリアルリサイクルでは品質の維持が難しい場合がある。しかし、化学的に分子レベルまで分解して原料に戻すケミカルリサイクルを用いることで、バージン材と同等の品質を持つ製品への再生が可能となる。今回のスキームでは、CFPから旭化成に至る再生ポリエチレン樹脂の製造工程において、第三者認証によるマスバランス方式が採用される見込みだ。これは、製造工程で石油由来の原料と再生由来の原料が混合される場合に、投入した再生原料の量に応じて生産された製品の一部を再生材利用製品とみなす手法である。

これまで各住宅メーカーは個別で施工廃棄物のリサイクルに取り組んできたが、サプライチェーン全体での連携は新たな段階となる。豊富な住宅供給量を持つ大手3社が参加することで、リサイクルの原料となる端材の回収量が安定的に確保され、スキーム全体の経済合理性が向上する。排出元となる住宅メーカー、素材を製造する化学メーカー、そして再資源化を担うリサイクラーがそれぞれの強みを持ち寄ることで、設計から回収、再資源化、再利用まで一貫した資源循環の輪を構築する。

【プレスリリース】大手住宅メーカーと化学メーカー、リサイクラーの5社が結集 給水給湯管の施工端材を活用した資源循環スキームを構築
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