アイルランド政府は9月4日、循環型経済への移行に向けて2020〜2025年に取り組む「循環型経済に向けた廃棄物行動計画」を発表した。

同計画は循環型経済へ移行する今後10年を見据えたもので、2030年までに食品ロスを半減し、全てのパッケージを再利用またはリサイクル可能にすることを目標に掲げている。なお、プラスチックボトルやアルミ缶のデポジット制(DRS)の導入、使い捨てカップに対する課税、2021年7月から開始する特定使い捨てプラスチックの禁止などの具体的施策も含まれる。

同計画の概要は以下の通りだ。

  • 廃棄物処理に比重が置かれる現在の状態から、原材料と製品をより長期間使用する方向に転換させることで、廃棄物発生を抑止し再利用を支援する
  • 使い捨て製品を製造および販売する製造業者に環境負荷に対する責任を持たせる
  • バージン素材ではなく再生材活用を支援するなど、持続可能な経済モデルを支援する施策を立案する
  • 研究開発や生産者・製造業者、規制当局、市民社会を含むすべての部門と連携する
  • 地方自治体の権限の強化などを通じて、廃棄物管理部門向けの組織的支援を強固にする

なお、2021年7月から、綿棒やカトラリー、プレート、かき混ぜ棒、箸、ストロー、ポリスチレン容器、酸化型生分解性プラスチックなどの使い捨てプラスチックの製造販売が禁止される。また、ホテルのアメニティ、砂糖・ソース・マヨネーズ等の使い捨てプラスチックなどについても今後同様の規制が検討される。

そのほか、瓶の色の標準化やコーヒーカップリサイクルの促進、アパート居住者のための廃棄物分別インフラ整備の強化、廃棄物の分別を改善するための教育と意識向上キャンペーンなどを行うとしている。

また政府は、「1つ買ったらもう1つは無料」という販売方法からの脱却に小売業者と共同で取り組む。さらに、小売業者が未使用の食品を寄付しやすくするため、賞味期限前の食品破棄を規制することによる影響を調査する構えだ。

同政策の発表に合わせアイルランド政府は、「わが国の現在の消費行動を維持すれば、2050年までに3つの地球が必要になる」として、危機感を強調した。消費行動の例として、同国では毎年100万トンの食品ロスが発生している。また、廃棄されるコーヒーカップは年間2億個にのぼり、これは毎秒6つのカップに相当するという。

同国の通信・気候変動対策・環境大臣のイーモン・ライアン大臣は、以下のように述べた。

「現在の生産と消費のモデルは、資源利用や廃棄物処理、気候変動、生物多様性の損失という点で持続不可能であることは誰の目にも明らかです。私たちがすべきことは、モノをどのように作り出し、使用し、処理するかを再考することです。わが国は、これを人々と地球に利益をもたらす方法で進めていきます」

【プレスリリース】Minister Ryan launches Waste Action Plan for a Circular Economy
【参考】A Waste Action Plan for a Circular Economy-Ireland’s National Waste Policy 2020-2025