WWFジャパンが事務局を務める「国際プラスチック条約 企業連合(日本)」は7月25日、プラスチック汚染を根絶するための国際条約の策定に向け、環境省、経済産業省、外務省の交渉担当者へ要望書を提出した。2025年8月5日からスイス・ジュネーブで開催される最終交渉会議(INC-5.2)を前に、法的拘束力のある国際的に調和したルールに基づき、プラスチックのライフサイクル全体を対象とする野心的な条約の策定に貢献するよう日本政府に求めた。

同連合は、国境を越えて一貫性のある調和した規制が、プラスチック汚染に効果的に対処するための最もコストの低い選択肢だと主張する。同連合が引用した2025年6月公表の分析によると、段階的禁止、製品設計、生産者の責任範囲を拡大する「拡大生産者責任(EPR)」などの主要な要素において強固な義務と調和した規制を導入することは、各国の自主的な措置に委ねるよりも、国際的にも日本を含む各国にとっても経済的価値が高いことが示唆されているという。

この要望は、プラスチック汚染を2040年までに終わらせるという国際的な目標達成に向けた、条約策定の最終段階であるINC-5.2が極めて重要な機会であるという認識に基づいている。同連合は、調和した規制に基づく国際条約が、日本の先進的な廃棄物管理インフラを活かし、市場で不足している良質な再生材の供給を促進する機会にもつながると指摘した。

要望書では、条約に盛り込むべき最低限の要素として、以下の5つの重要な管理措置を挙げている。

  • 問題のあるプラスチック製品や懸念される化学物質を、国際的なアプローチで規制または段階的に禁止するための強固な管理措置。
  • 容器包装や漁具などを優先対象とした、調和のとれた製品設計基準の策定義務。
  • EPR制度などの共通原則に基づき、回収、リユース、リサイクルの目標とシステム導入を各国に義務付けること。
  • 労働者や企業を含む関係者全員の公正な移行を支援するため、官民の資金を動員する包括的なパッケージ。
  • 条約の有効性を定期的に評価し、継続的に政策を強化するための確固たるメカニズム。

国際プラスチック条約 企業連合(日本)は、プラスチックのサーキュラーエコノミー移行を目指す野心的な国連条約の実現を求め、2023年11月1日に発足した。Uber Eats Japan、キリンホールディングス、ユニリーバ・ジャパンなど10社が参画し、WWFジャパンが事務局を務めている。同連合は、世界で300以上の企業や金融機関が参加する国際的な「Business Coalition for a Global Plastics Treaty」の日本における活動グループとして、政府間交渉委員会(INC)の開催に合わせて声明発表や政府との対話を実施している。

【プレスリリース】国際プラスチック条約 企業連合(日本)INC-5.2 日本政府に要望書を提出 --国際的に調和した法的拘束力のあるルールに基づき、プラスチックの ライフサイクル全体をカバーする野心的な国際プラスチック条約を
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