環境省は3月24日、「リユース等の促進に関するロードマップ」を策定した。使用済み製品のリユースを拡大し、資源循環を加速させることを目的とし、検討会での議論や関係者ヒアリングを踏まえ、将来像や取組指標、具体的施策を体系的に整理した。

背景には、リユース市場の拡大と利用の停滞というギャップがある。環境省調査によると、2024年時点の国内リユース市場規模は約3兆4,986億円と拡大傾向にあり、2030年には約4兆円規模に達するとの民間推計もある。一方で、生活者のリユース実施率は40.8%にとどまり、約6割が未実施であることが明らかになっている。 こうした状況から、利用機会の不足や認知の低さ、自治体の取り組み不足などが課題として浮かび上がっている。

リユースの拡大は環境面だけでなく経済面でも重要な意味を持つ。製品の長期利用による廃棄物削減や処理コストの低減、製造・廃棄に伴うCO₂排出削減に加え、リユース品の売買を通じた生活者の可処分所得の増加や、雇用創出、地域活性化など多面的な効果が期待されている。

本ロードマップでは、2040年までの「目指すべき将来像」として、①環境配慮型で信頼性の高い市場を形成する「適正なリユース市場の創出」、②地域で循環が広がる「リユースの裾野の拡大」、③生活者・事業者・自治体においてリユースが定着する「リユースを当たり前に」の3点を掲げた。

これらの達成に向けた指標として、「リユース市場規模」「リユース業者等と協働する自治体数」「生活者のリユース実施率」を設定し、2030年までに市場規模4兆6千億円(約32%増)、自治体数約600(倍増)、実施率50%(国民の半数)への引き上げを目指す。あわせて、参考指標としてリユース重量・点数も把握し、実態の可視化を進める。

対象範囲については、従来のリユースにとどまらず、シェアリング、リペア、リファービッシュ、リセールといった関連領域も含めた広義の2R(リデュース・リユース)ビジネスとして整理。衣類や家具などの製品だけでなく、部品や素材レベルでの循環も視野に入れるほか、無償譲渡やリフィルといった形態も含まれる。

具体的施策は4つの方向性で構成される。第一に、優良事業者ガイドラインの策定などによる業界の信頼性向上。第二に、モデル事業の創出やキャンペーン、教育を通じた接触機会の拡充で、8月を「リユース月間」とするなど普及啓発を強化する。第三に、国や自治体による公共調達の推進などを通じた需要喚起。第四に、リユースによる環境・経済効果の「見える化」や国内外調査など、制度基盤の整備である。

さらに、製造業者の参入やオンライン取引の拡大などにより、リユースビジネスは多様化が進んでいる。ロードマップでは、こうした動きを踏まえ、事業者・自治体・生活者が連携した取り組みを強化し、地域レベルでの循環モデルの実装を促進する方針も示された。

政府は、循環経済関連ビジネスの市場規模を2030年までに約50兆円から80兆円へ拡大する目標を掲げており、本ロードマップはその実現に向けた重要施策の一つと位置付けられる。今後は進捗のフォローアップと見直しを行いながら、リユースを軸とした資源循環の拡大とライフスタイル転換を図る。

【プレスリリース】リユース等の促進に関するロードマップの策定について
【参照サイト】環境省 リユース等の促進に関するロードマップ
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