日本の環境省と欧州委員会環境総局は6月23日、第20回日EU環境高級事務レベル会合をブリュッセルで開催した。会合では、気候変動、生物多様性の損失、汚染危機という三重の地球的危機への対処に向け、2021年に立ち上げられた「日EUグリーン・アライアンス」の下での協力を強化することを確認。特に循環経済分野では、プラスチック汚染に関する国際条約や、EUが導入を進める各種規制について意見交換が行われた。

循環経済に関する議論では、日本側が国内の移行政策を紹介するとともに、双方は今後の協力強化計画について話し合った。特に、現在交渉が進むプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際条約を、野心的な内容で妥結させるというコミットメントを改めて表明した。

また、EU側は、自動車の設計から廃棄までのライフサイクル全体で循環性を高めることを目指す「使用済み自動車(ELV)規則案」の進捗を説明した。同規則案は、再生材利用率の目標設定や、部品の再利用・リマニュファクチャリングの促進などを盛り込むもので、日本の自動車産業にも影響が及ぶ可能性がある。これに対し、日本側は同規則案への意見を述べ、双方は技術的課題に対処しつつ自動車の循環性を高めるアプローチについて議論した。

さらに、EUの「包装及び包装廃棄物規則(PPWR)」についても意見が交わされた。この規則は、包装材の削減、リユースの義務化、リサイクル可能性の向上などを通じて、包装分野での循環経済移行を加速させることを目的とする。双方は、包装に対する循環経済アプローチの重要性を再認識した。

会合ではこのほか、生物多様性、森林減少、汚染対策など多岐にわたる環境課題が議題となった。生物多様性分野では、生物多様性条約第17回締約国会議(CBD-COP17)に向けた準備状況が共有された。今後の協力については、EU側が持続可能で、包摂的で、美しい空間やライフスタイルを目指す「新しいヨーロッパ・バウハウス」イニシアチブを紹介し、日本側に環境分野での参画を呼びかけた。

双方は、2025年の大阪・関西万博の機会も活用して意見交換を継続することを確認。次回の日EU環境高級事務レベル会合は2026年に日本で開催される予定だ。

【プレスリリース】第20回日EU環境高級事務レベル会合の開催について(結果)
【プレスリリース】EU and Japan reaffirm commitments to sustainable economy and environmental protection during High-Level Dialogue
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