環境省と農林水産省は6月27日、2023年度(令和5年度)の日本国内における食品ロス発生量の推計値を公表した。総量は前年度から約8万トン(1.7%)減の約464万トンとなり、詳細な推計を開始した2012年度以降で最少を記録した。

内訳を見ると、食品関連事業者から発生する「事業系食品ロス」が前年度比約5万トン(2.1%)減の約231万トン、各家庭から発生する「家庭系食品ロス」が同約3万トン(1.3%)減の約233万トンとなり、いずれも減少傾向が続いている。これは、日本の総人口で割ると国民一人あたり年間約37kgの食料を廃棄している計算になる。

事業系食品ロスの要因別では、食品製造業が108万トンと全体の47%を占め、最も大きな割合を占めている。次いで外食産業が66万トン(29%)、食品小売業が48万トン(21%)、食品卸売業が9万トン(4%)と続く。一方、家庭系では、未開封のまま捨てられる「直接廃棄」が100万トン(43%)、食事として提供されたが食べきれずに廃棄される「食べ残し」が97万トン(41%)、野菜の皮を厚くむきすぎるなど調理時に食べられる部分まで捨ててしまう「過剰除去」が36万トン(16%)となっている。

日本政府は、2019年に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」に基づき、2030年度までの削減目標を設定している。事業系は2000年度(547万トン)比で60%削減(219万トン)、家庭系は同年度(433万トン)比で半減(216万トン)を目指す。今回の推計により、2023年度時点での削減率は事業系が57.8%、家庭系が46.1%に達し、目標達成が射程圏内に入った。特に事業系は、目標である60%削減まで残り2.2ポイントに迫っている。

この目標は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」に沿ったものだ。食品ロス削減は、資源の有効活用だけでなく、廃棄物の焼却時に発生する温室効果ガスの削減にもつながるため、循環経済への移行と気候変動対策の両面で重要な取り組みと位置づけられている。

環境省は今後も、食品ロス削減を「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)」の主要な取り組みの一つとして推進する方針だ。自治体や事業者と連携し、食品廃棄ゼロを目指すエリアを創出するモデル事業や、外食時の食べ残しの持ち帰り(mottECO)の普及、フードシェアリングサービスの活用支援などを通じて、さらなる削減を目指す。

【プレスリリース】我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和5年度)の公表について
【参照情報】我が国の食品ロスの発生量の推移等[PDF]
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