環境省は7月11日、令和7年度「地域の資源循環促進支援事業」の公募採択結果を発表した。この事業は、地域における循環経済への移行を加速させることを目的としており、「自治体CE診断・ビジョン作成」で39件、「循環型ビジネスモデル実証事業」で15件の、合計54件のプロジェクトが採択された。
同事業は、自治体が主体となってサーキュラーエコノミー(CE)に関する現状分析と将来ビジョンを策定する取り組みと、企業が主体となって先進的な循環型ビジネスモデルを実証する取り組みの2つを支援するものだ。公募は2025年4月15日から5月30日にかけて実施され、有識者による審査を経て採択案件が決定した。
「自治体CE診断・ビジョン作成」では、青森県黒石市、神奈川県横浜市、大阪府豊中市、鹿児島県喜界町など、全国39の自治体が採択された。各自治体は今後、地域特性に応じた資源循環の課題分析や、サーキュラーエコノミー推進に向けた具体的なビジョンを作成していく。
「循環型ビジネスモデル実証事業」では、当初予定の14件を上回る15件が採択された。採択案件は、多様な未利用資源の活用や新たなリサイクルシステムの構築を目指すものだ。
例えば、appcycle株式会社(青森県弘前市)は、年間約2万トン廃棄されるりんごの残渣から、独自技術でエシカルレザー「RINGO-TEX®」を開発し、商品化と販売体制の構築を目指す。また、ユニ・チャーム株式会社は、鹿児島県志布志市および大崎町と連携し、保育園などから使用済み紙おむつを回収し、水平リサイクル技術で再び紙おむつとして再生する実証に取り組む。処理時に発生する汚泥はバイオマス発電に利用し、廃棄物の完全資源化を目指す地域課題解決型モデルを構築する。
このほか、花王株式会社(宮城県石巻市)による市民参加型のつめかえパック回収事業のビジネスモデル化、株式会社TBM(群馬県富岡市)による少量排出の産業系廃プラスチックを対象としたデジタルマッチングプラットフォーム事業、HUB&STOCK株式会社(神奈川県川崎市)による建設現場で発生する新品・未使用の建材ロスを可視化・再流通させる事業など、革新的な取り組みが選ばれた。
採択された各事業は、今後それぞれの地域で具体的なプロジェクトを進め、地域発のサーキュラーエコノミーモデルの確立を目指す。
【プレスリリース】令和7年度地域の資源循環促進支援事業「自治体CE診断・ビジョン作成」 及び「循環型ビジネスモデル実証事業」の公募の採択結果について
【参照資料】令和7年度地域の資源循環促進支援事業「自治体CE診断・ビジョン作成」公募採択結果一覧[PDF]
【参照資料】令和7年度地域の資源循環促進支援事業「循環型ビジネスモデル実証事業」公募採択結果一覧[PDF]
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