仏ロレアルはこのほど、Carbios(カルビオス)の酵素技術を用い、プラスチックを完全にリサイクルした化粧品ボトルを実用化したと発表した。生産は2025年から開始。Biotherm(ビオテルム)がこのボトルで販売される最初のブランドになる。

フランスのスタートアップ企業カルビオスは2020年、酵素でペットボトル(PET)を短時間で分解し、リサイクルする技術を開発した。透明・不透明・着色・多層など、あらゆる種類のPETに適しており、プラスチックを無限にリサイクルできるという。

ロレアルのパッケージ開発部長Jacques Playe氏は、次のように述べた。「私たちは、2017年からカルビオス社と協力して、従来のメカニカルリサイクルに代わる酵素を用いたリサイクル技術によりリサイクルボトルを開発しました。試験的な段階での実現可能性を発表でき、嬉しく思います。これは、将来に向けた有望なイノベーションで、より環境にやさしいパッケージを市場に投入する当社のコミットメントを示しています。また、この取り組みは15年以上前に始めた循環型の取組の一環であり、当社のコミットメントを表す有望なイノベーションでもあります」

ビオテルムのグローバルブランド取締役であるGiulio Bergamaschi氏は、次のように話す。「ビオテルムは環境に配慮した化粧品のパイオニアで、持続可能なパッケージと廃棄物削減を戦略の中心に据えています。私たちは、カルビオス社の革新的技術による完全にリサイクルされたプラスチックボトルの最初の化粧品ブランドであることを嬉しく思います」

同社は2017年、革新的なプラスチックリサイクルソリューションの開発を促進・商用化するため、カルビオスとコンソーシアムを立ち上げた。後に、ネスレ ウォーターズ・ペプシコ・サントリー食品ヨーロッパも加わった。

2019年には、ベンチャーキャピタルファンド「BOLD(「ロレアル発展のための事業機会」の頭文字)」を通じてカルビオスに出資した。

2030年に向けた新しいサステナビリティプログラム「L’Oréal for the Future」を策定し、ロレアルグループはさらなる一歩を踏み出した。特にパッケージの分野で次のような新目標を設定している。

  • 2025年までに、容器の100%を、詰め替え可能・再利用可能・リサイクル可能または堆肥化可能にする
  • 2030年までに、容器の100%を再生材料または生物資源にし、化石由来のバージンプラスチックを一切使用しない
  • 2030年までに、容器に使われる生物資源にはトレーサビリティを保証し、持続可能な供給源からのものとする

これらの目標の達成には最新技術が必要になるため、同社は多くの戦略的パートナーと協働する。2019年にFSC認証ボール紙を含む初の化粧品チューブを開発した化粧品容器のグローバルリーダーであるAlbea(アルベア)や加溶媒分解によりリサイクルしたポリプロピレン(PP)を製造するPurecycle (ピュアサイクル)、産業で排出されたCO2をリサイクルしたポリエチレン(PE)の化粧品ボトルの製造を発表したLanzaTech(ランザテック)やTotal(トタル)と協力している。

【参照記事】L’ORÉAL ANNOUNCES THE REALIZATION OF THE FIRST COSMETIC BOTTLE MADE FROM PLASTIC DERIVED FROM CARBIOS’ ENZYMATIC RECYCLING TECHNOLOGY
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