エレン・マッカーサー財団と中国紡織工業連合会(CNTAC)、およびオーストリアに本拠を置く繊維メーカーのレンチンググループはこのほど、中国の繊維・アパレル産業経済の現状と今後のビジョンを提示したレポート「Make Fashion Circular Outlook for a New Textiles Economy in China」を発表した。

同レポートは、サプライチェーン全体の観点から、現在の中国の繊維・アパレル産業の概要を初めて示した。さらに、繊維産業の循環を促進するための優れた戦略と成果、および機会が模索されるなかで、国際的なサーキュラーファッションのトレンドに基づいた循環型経済の移行に向け、下記5つの目標を「China’s New Textiles Economy」として掲げる。

  1. 原材料消費システムを最適化し、再生不可能な原材料の消費量を削減する
  2. 循環型経済の本質に基づいたデザインを採用する
  3. 製造段階における資源効率を向上させる
  4. ビジネスモデルを確立し、環境に配慮した消費を促進する
  5. 使用済み製品のリサイクルの質・効率を向上させる

国連は2019年、今世紀末までに世界人口が約110億人になると予測しており、衣類の需要増加とともにサーキュラーファッションへの移行が急務となっている。このようなファッション産業への高まる要求を背景として、同産業での重要な国となる中国は衣類の製造・消費・廃棄の方法を再考している。現在の「大量生産・大量消費・大量廃棄」というリニア型モデルから、ビジネスや社会、環境に利益をもたらす循環型モデルに移行する方針だ。

エレン・マッカーサー財団のイニシアチブ「Make Fashion Circular」リードであるフランソワ・スーシェ氏は、「サーキュラーファッションは、廃棄物や汚染の問題を解決する機会を生み出し、産業の長期的な発展に貢献します。サーキュラーファッションシステムでは、衣類は安全で再生可能な素材で作られ、長期間使用できるのが特徴です。さらに、使われなくなった製品は、異なる製品に生まれ変わった後に再利用されます。サーキュラーファッション産業への勢いが世界的に拡大しているなか、同レポートは、これまでの繊維産業経済の概要と今後のビジョンを認識するために有益であると考えています。そして、中国のファッション産業が、世界的な循環型経済への移行において確固たる基盤を築けることに着目するだけでなく、将来のファッション産業の発展を促す目標についても言及しています」と述べている。

【参照レポート】Summary: Make Fashion Circular Outlook for a New Textiles Economy in China
【参照レポート】Make Fashion Crcular Outlook for a New Textiles Economy in China