株式会社マッシュスタイルラボは10月22日、伊藤忠商事株式会社および株式会社三景と協業し、自社ブランド「SNIDEL(スナイデル)」の生産工程で発生する裁断くずを再生利用する衣類循環モデルを構築したと発表した。
本取り組みでは、伊藤忠商事が展開する環境配慮型リサイクル素材「RENU®(レニュー)」の循環スキームを採用し、三景が再生繊維を用いた裏地を供給する。レディスブランド「SNIDEL」の縫製工場から発生する裁断くずを回収・再資源化し、2026年春夏(26SS)コレクションからリサイクル裏地として採用する。
アパレルの縫製工程で発生する裁断くずは、これまで産業廃棄物として焼却処分されることが多く、国内だけで年間約48万トンに上るとされる。今回のプロジェクトでは、この裁断くずをリサイクル資源として再活用し、焼却処理によるCO₂排出を削減することを目的とする。
回収対象はポリエステル100%の裁断くずで、伊藤忠商事が「RENU」プロジェクトを通じてケミカルリサイクル技術により分解・再重合を行い、バージンポリエステルと同等の品質を持つリサイクル繊維に再生する。三景がその繊維をもとに裏地を供給し、マッシュスタイルラボが最終製品としてSNIDELに導入する。このように、マッシュスタイルラボが排出事業者、伊藤忠商事がリサイクルスキームの設計者、三景が再生素材の供給者として機能する「三位一体の循環モデル」が構築された。
マッシュスタイルラボによると、SNIDELで展開する裏地付き商品のすべてをリサイクル裏地に切り替えた場合、従来のバージンポリエステル使用時と比較して年間38t-CO₂、水使用量約12.7万リットルの削減が可能になるという(2027年時点での試算)。
「RENU」は、使用済み衣類や生地端材などを再資源化し、繊維から繊維へと再生する水平リサイクル技術として知られる。今回の取り組みは、そのスキームをブランド単体の生産工程内で循環させる点に特徴があり、アパレル産業のサーキュラーエコノミー実現に向けた新たなモデルケースとなる。
マッシュスタイルラボは「サプライチェーンの中で“やむを得ない”とされてきた裁断くずを大切な資源として循環させ、ものづくりの在り方を見直す試み」と位置づけている。今後は他ブランドへの展開も視野に、廃棄ロスの低減と環境負荷の最小化を目指す。
【プレスリリース】【マッシュスタイルラボ×伊藤忠商事×三景】3社協業で衣類循環モデル構築へ SNIDEL裁断くず由来のリサイクル裏地を26SSより展開
【参照レポート】環境省「令和6年度循環型ファッションの推進方策に関する調査業務」報告書概要版(マテリアルフロー)
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