欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会はこのほど、2020年3月に策定された新たなEU循環型経済行動計画(Circular Economy Action Plan)に関する報告書を賛成66票、反対6票、棄権7票で採択した。これを受け、欧州議会は2月10日、賛成574票、反対22票、棄権95票で同報告書を採択した。

同議会は、EUは遅くても2050年までに、カーボンニュートラルで環境的に持続可能で、無害で完全なサーキュラーエコノミーを達成するための明確な政策目標が必要であると主張し、主に以下の3点において見解を提示した。

真のサーキュラーエコノミーに移行

廃棄物発生抑止やエネルギーと資源の使用量削減などの一連の原則に基づいて、現在のリニア型経済を真のサーキュラーエコノミーに移行する必要がある。製品は、廃棄物・有害物質・汚染を減らし、人の健康を保護するように設計しなくてはならない。サーキュラーエコノミーにおける消費者の利益は、明確にされるべきである。

目標と指針の設定

EU市場に投入されている各製品分野のライフサイクル全体を網羅する、科学に基づく原材料使用、および消費に伴う炭素排出量に関するEUの拘束力ある2030年目標を求める。欧州委員会に対して、ライフサイクル全体における原材料使用、そして消費を通じた炭素排出に関する均一なサーキュラリティ指標を2021年に導入することを要請する。欧州委員会に対し、関連製品の性能と安全性を確保し、関連製品がリサイクルされるように設計される一方で、製品固有・業界固有のリサイクル材含有量の拘束力ある目標を提案するよう求める。

持続可能な製品方針

エネルギー関連以外の製品を含めるべく、エコデザイン指令(2005年発効)の範囲を拡大するという欧州委員会の意図を強く支持する。2021年に新しい法律を制定する必要があり、これにより、水平方向の持続可能性原則と製品固有の基準が設定され、EU市場に投入された製品が良好に機能し、耐久性に優れ、再利用可能で、簡単に修理でき、毒性がなく、アップグレードおよびリサイクルされ、リサイクル材が含まれ、資源とエネルギーの効率が向上する。

そのほかの提案は下記の通り。

  • グリーンウォッシングと誤った環境に関する表示に対する措置、および計画的陳腐化をもたらす慣行を阻止するための立法措置を導入する
  • 環境の持続可能性のベンチマークとしてのEUエコラベルの支持
  • 最低限の必須基準と目標を設定することにより、グリーン公共調達の役割を強化する
  • サーキュラーエコノミーの原則を加盟国ごとの復興計画において主流化する

報告担当官のヤン・ウイテマ氏は、「サーキュラーエコノミーへの移行は、欧州にとって経済的機会となります。欧州は資源が豊富ではありませんが、ループを閉じて無駄のない社会を構築するために必要な技術の革新および開発する能力・専門知識・手腕を備えています。これにより、雇用と経済成長が生まれ、気候目標に近づけることから、双方に利点があります」と述べている。

【プレスリリース】MEPs call for binding 2030 targets for materials use and consumption footprint
【プレスリリース】Circular economy: MEPs call for tighter EU consumption and recycling rules
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