三菱ケミカルは9月9日、2025年度中の商業化を目指すプラスチック油化ケミカルリサイクル事業において、Circularise Japan(サーキュライズ)の「製品トレーサビリティプラットフォーム」を導入すると発表した。これにより、信頼性の高いサプライチェーンを構築し、マスバランスクレジット管理業務の一元化と簡素化を実現する。
三菱ケミカルは、サステナブル素材の社会実装を積極的に推進している。今後、原料の多様化やケミカルリサイクル設備の大型化、国際持続可能性カーボン認証「ISCC PLUS認証」などの国際基準への適合が求められる中で、製品に使われる原料の由来や環境価値を信頼性のある形で社会や顧客に伝えていくことが重要だとしている。
この背景のもと、同社はサーキュライズ社が提供するプラットフォームの導入を決定した。本システムにより、原料の由来や数量に関する情報を社内で正確に管理するだけでなく、製品に関する環境価値の根拠を顧客にわかりやすく提供できる体制を整える。
同社は、茨城事業所(茨城県神栖市)に設置したケミカルリサイクル設備において、2025年7月にISCC PLUS認証を取得した。今後は本システムの導入を通じて原料や製品のトレーサビリティを強化し、2025年度中にケミカルリサイクル油化設備の商業運転開始およびマスバランス製品の提供開始を目指す。
マスバランスとは、複数の原料(例:石油由来原料と廃プラスチック由来のリサイクル原料)を混合して製品を製造する際に、使用した特定の原料(例:リサイクル原料)の割合を任意の製品へ割り当てることだ。この手法は、物理的に分離が困難なリサイクル原料とバージン原料を同じ設備で処理する際に、リサイクル原料の使用量を最終製品に論理的に割り当てることで、循環型経済への移行を促進する。
サーキュライズ社は、2016年にオランダで設立された製品トレーサビリティに特化したプラットフォーム開発企業だ。企業のレジリエンス向上、排出量削減、新たなビジネス価値の創出を支援している。原料レベルから最終製品に至るまで、全体を通してデータを収集・可視化する、安全な製品トレーサビリティを実現している。日本での事業展開を本格化するため、2025年1月に日本法人「Circularise Japan株式会社」を設立し、国内企業の欧州規制への遵守や認証プロセスの自動化を支援している。
【プレスリリース】プラスチック油化ケミカルリサイクル事業の信頼性の高いサプライチェーン構築に向けてサーキュライズ社の「製品トレーサビリティプラットフォーム」を導入
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