株式会社日建設計は10月18日、「Circular Design Collective(サーキュラーデザインコレクティブ)」を発足させ、建設業界におけるサーキュラーエコノミー推進に向けた活動を開始したことを発表した。活動の第一弾として、「循環型建築(Circular Architecture)」の実現に向けたアイデアやデザイン手法を集約した「Circular Idea Catalog(サーキュラーアイディアカタログ)」の開発を進める。こうした取り組みにより、業界全体が循環型建築に取り組む環境を整えることを目指す。

近年、建設業界では循環型社会への移行が求められている。建物の建設、使用、解体など建設分野における温室効果ガスの排出量は、世界全体の約40%を占めるという。また、建設及び解体プロセスはすべての材料消費のほぼ3分の1を占め、使用可能な資源量に対して地球単位で1.7倍、日本国内では6.4倍を消費していると指摘されている。資源枯渇と最終処分場不足が懸念され、循環型建築の実現が急務だ。

日建設計はサーキュラーエコノミー推進の一環として、「Circular Design(循環型建築を実装するためのデザイン手法)」を研究し、ヒト・モノ・コトの集合知化するため、「Circular Design Collective」を発足。特に、「廃棄物」という概念をなくすことをミッションに掲げ、循環型建築を「Vernacular(全ての部材は地球に還る)」、「Design for Disassembly(設計時から解体後の循環を考える)」、「Upcycling(廃棄物に命を吹き込む)」の三つの考えに分類した。

こうしたアプローチにより、同社は従来負の遺産として捉えられてきた建設廃棄物を、環境的・経済的価値を持った正の資産に転換する考えを推進、新たな設計方法の導入を提案している。

「Circular Design Collective」の第一弾となる「Circular Idea Catalog」の開発では、情報の分散を解消し、誰もが循環型建築に取り組める環境を作ることを目指している。循環型建築の事例や、Circular Designのアイデア、パートナーとなりうる社外専門家情報に関するカタログ化を進め、建設業界全体におけるCircular Designの普及を図る。

再現性の高い情報を集約し、誰もがアクセス可能な環境を構築することで、建設業界におけるサーキュラーエコノミー実現のための後押しとなることが期待される。

【プレスリリース】資源枯渇と廃棄物処理の課題解決に資する「循環型建築」の実現に向けた活動を開始 第1弾として建設業界におけるサーキュラーエコノミーの知見を集約した「Circular Idea Catalog」の開発に取り組む
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(※画像の出典:株式会社日建設計)