株式会社NTTデータは、経済産業省の令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」公募に応募し、2023年8月にシステム開発事業者として正式に採択された。
NTTデータは、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステム「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」を構築する計画だ。プラットフォーム構築において、2022年度の経済産業省補助事業で作成したシステム要件定義などの成果を参考にし、株式会社デンソーと共同で取り組む。デンソーは、業界課題の整理や業務要件の検討を推進する役割を担う。
バッテリートレーサビリティプラットフォームでは、電動車向けバッテリーに関して、サプライチェーン上のカーボンフットプリント情報集計、希少資源の人権・環境デューデリジェンス、バリューチェーン上のリサイクルとリユース情報などを可視化する。
2025年から一部義務化される欧州電池規則に対応するべく、製造時の電池情報(カーボンフットプリント情報や人権・環境デューデリジェンス情報)を企業間で連携するサービスを2024年度中に提供する予定だ。2027年には、同規則においてバッテリーパスポートやリサイクル材利用義務化などのリサイクル促進のための規制が開始される。NTTデータは同年までに、バッテリー単位での情報管理を実現し、購入ユーザー・解体業者・リユース企業・リサイクラーなど、業界横断でデータ連携する機能をプラットフォーム上に拡張することを目指す。将来的には、日本車が普及しているアジア諸国でサービスを展開する計画だ。
バッテリートレーサビリティプラットフォームのイメージ(出典:株式会社NTTデータ)
2023年4月、経済産業省や関係省庁をはじめとする組織は、企業や業界、国境を跨ぐ横断的なデータ流通やシステム連携の実現を目指す取り組みを「ウラノス・エコシステム」と命名した。NTTデータと株式会社NTTデータグループは、ウラノス・エコシステムに関する公募事業に採択され、2023年10月からサプライチェーンデータ連携基盤の開発・実証事業を開始する。
バッテリートレーサビリティプラットフォームは、ウラノス・エコシステムにおけるユースケースとして開発する。今後、NTTデータはバッテリー以外の他産業におけるユースケースへの展開も検討していく。
EU電池規則に加え、EU理事会はエコデザイン規則案を採択するなど、製品の持続可能性向上に向けた取り組みが活発化している。エコデザイン規則案では「デジタル製品パスポート」の導入が盛り込まれ、初のデジタル製品パスポートはバッテリーに適用される予定だ。バッテリーをはじめとする製品のトレーサビリティ・持続可能性向上に関する動向が注目される。
【プレスリリース】サーキュラー・エコノミーを実現するバッテリートレーサビリティプラットフォームを構築
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