スイスの環境コンサルタントQuantis(カンティス)およびEAが主導する「Plastic Leak Project(以下、PLP)」は2月27日、世界初となる、企業のバリューチェーン全体におけるプラスチック漏出状況を測定・モニタリングするためのガイドライン「The Plastic Leak Project Guidelines」を公表した。プラスチック漏出とは、適切な管理の下で処理されず外界に流れ出たマクロ・マイクロプラスチックのことを指す。

カンティスは、スイスのEAとのパートナーシップのもと、35の組織・参加企業と共にPLPを発足。科学データに基づくプラスチック漏出の算出システムを作り上げ、業種問わず、バリューチェーンの全てのステージの企業に適応できるメトリクス(評価指標)を構築した。

これにより、企業のプラスチック漏出ホットスポットや漏出量、要因も特定することができるようになる。サステナビリティ担当者だけでなく、経営者やデザイナー、マーケティングに至るまで幅広い人が使用可能なメトリクスとすることで、信頼できるデータに基づいてプラスチック戦略や商品デザイン、バリューチェーン改革などの取り組みを改善してもらうことを期待している。

Quantisの環境コンサルタントでPLPリーダーを務めるLaura Peano氏は、「プラスチック汚染は業界の垣根を越えて特に高い関心がある問題なので、企業もこれまで大胆なコミットメントを行ってきた。たが、効果的にインパクトを出すにはデータに基づくソリューションが不可欠だ。PLPガイドラインはまさにそのソリューション、産業やサプライチェーンにおけるプラスチック漏出をマッピング、測定、予測する明確なメトリクスと指導、を提供していく」と語る。

これまでの企業のプラスチック政策は科学的ではなく、推測に基づくものが多かった。しかし、今回公表されたガイドラインを活用することで、今後は大胆なコミットメントも明確で信頼性の高いデータに基づいて実行に移すことができるようになる。取り組みを通してリーダーシップを発揮できれば、最終的にはビジネスリスクを最小化し企業のブランド価値を高めることも期待できる。

かつてはプラスチック危機に警鐘を鳴らすことに焦点が当てられてきていたが、今日、企業は消費者や政府からの早急なプラスチック汚染対策のプレッシャーの高まりに直面している。今こそバリューチェーン全体において企業が協働し、具体的な指標に基づくアクションをとるときだ。

【参考記事】First Standardized Guidelines to Measure Plastic Pollution Across Corporate Value Chains Published by the Plastic Leak Project
【参照サイト】The Plastic Leak Project Guidelines