株式会社島津製作所は7月22日、紫外可視分光光度計「UV-1900i Plus」の外観パネル全体に、リサイクル比率50%の樹脂を採用したと発表した。この樹脂は帝人株式会社が開発したもので、分析計測機器メーカーでの利用は初めてとなる。

採用された樹脂は、帝人が展開する環境配慮型のポリカーボネート樹脂製品ブランド「サーキュラーマテリアルズ」の一つだ。ポリカーボネート樹脂は、高い耐衝撃性や耐熱性、透明性を持つエンジニアリングプラスチックであり、精密機器の筐体や自動車部品などに広く利用されている。

今回の樹脂は、消費者が使用した後の製品から資源を回収する「ポストコンシューマーリサイクル(PCR)」によって製造されている。具体的には、使用済みの自動車ヘッドランプなどが原料として再利用される。製造工程で発生する端材などを再利用するプレコンシューマーリサイクルと異なり、PCRは品質のばらつきや不純物の混入リスクが高い一方、廃棄物の削減に直接的に貢献するため、サーキュラーエコノミーの実現において重要な役割を担う。

島津製作所は、今回のリサイクル樹脂採用により、バージンプラスチックの使用量を削減し、資源循環と温室効果ガス排出量の抑制に繋げる考えだ。

同社グループはサーキュラーエコノミーへの移行を掲げ、2022年に「サステナブル素材普及委員会」を設置し、製品へのサステナブル素材の採用を推進している。過去には、植物由来の機能性素材「セルロースファイバー強化難燃複合樹脂」を液体クロマトグラフに採用した実績がある。

島津製作所は、今回採用したリサイクル比率50%の樹脂を、今後他の製品にも展開していく計画で、脱炭素化社会の実現に貢献する方針だ。

【プレスリリース】分析計測機器の外観パネルにリサイクル比率50%の樹脂を採用
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