株式会社JEPLANと日立造船株式会社は2024年7月18日、繊維製品の熱分解ガス化に向けた共同実証および事業化検討に関する基本合意書を締結したことを発表した。この合意により、両社は繊維製品の資源循環を推進する共同実証を開始する。

日本では、石油資源を原料とした繊維から製品化された新規の衣類が年間81.9万トン供給され、そのうち約6割が焼却または埋め立て処分されているという。また、世界的にも繊維製品の「繊維to繊維」リサイクル率は1%未満にとどまっている。

衣類は機能性を向上させるため、ポリエステルや綿、ウールなど異なる素材を組み合わせた混紡繊維で生産されることが多い。しかし、素材ごとに異なる方法でリサイクルする必要があるため、混紡繊維のリサイクルは技術的な課題が多い。

両者が取り組む熱分解ガス化技術は、繊維廃棄物を酸素のない環境で高温加熱し有用なガスに変換する技術だ。廃棄物中の炭素を可燃ガスに変換するため、二酸化炭素排出の抑制に寄与する。

本基本合意では、混紡繊維を熱分解ガス化し、得られたガスからポリエステルを再生することを目指す。これにより、廃棄衣類の資源循環と二酸化炭素排出削減が実現される見込みだ。

日立造船は一般廃棄物の次世代処理技術として熱分解ガス化技術に取り組み、実証設備を大阪市に建設。2022年4月から2023年10月まで実証運転を行ってきた。

JEPLANはアパレルブランドや企業と連携し、衣類回収やリサイクルを行う。独自のPETケミカルリサイクル技術でポリエステル繊維をリサイクルし、再生ポリエステル樹脂の販売や再生素材を使用したアパレルブランドを展開している。

両者は熱分解ガス化技術と衣類回収スキームを融合させ、再生ポリエステルの原料として混紡繊維を再利用する取り組みを進める。アパレル業界のサプライチェーン全体で資源循環の促進が期待される。

【プレスリリース】JEPLANと日立造船、混紡繊維の熱分解ガス化に向けた共同実証および事業化検討に関する基本合意書を締結
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(※画像の出典:株式会社JEPLAN)