大成建設株式会社、相模原市、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)はこのほど、ごみ処理および金属製品製造に伴う副産物を組み合わせた配合による、新たな環境配慮コンクリートを共同開発したと発表した。同社によると、国内初の配合だという。天然資源の使用量、CO2排出量、最終処分場埋立量の削減を目指しており、道路用建材としての試作品も完成した。

今回開発されたコンクリートは、従来の天然砂の代替として「溶融スラグ」を使用し、アルミニウム製造や新幹線車両製造時に副産物として発生する「水酸化アルミニウム」を刺激材として用いるのが特徴。強度や作業性は従来品と同程度を維持しながら、CO2排出量を約80%削減し、副産物の使用量も従来比で約8倍に拡大できるとしている。

この技術は大成建設が展開する環境配慮コンクリート「T-eConcrete」シリーズの一つ、「セメント・ゼロ型」の技術を応用している。セメント・ゼロ型は、従来コンクリートの主要原料であるセメントを使わず、CO2排出削減効果の高い材料で代替する技術である。セメント製造は高温処理を伴うため、温室効果ガスの排出源とされてきた。

開発の背景には、中央新幹線神奈川県駅(仮称)の建設予定地である相模原市が、既にごみの資源化とスラグの有効活用を進めていた地域特性がある。JR東海は同市および神奈川県と締結した連携協定に基づき、イノベーション創出促進拠点「FUN+TECH LABO(Fラボ)」を駅周辺で運営。大成建設はFラボの入居企業であり、Fラボを通じて企業間連携が進んだことで、新たな環境配慮コンクリート開発のための共同研究に至ったという。

今後は、耐久性評価を進めた上で製品化を目指すとともに、都市インフラやまちづくりへの活用方法を検討するとしている。本プロジェクトには、相模原市内の興建産業やSUS、日本車両製造、アルハイテックなども協力しており、地域資源と企業間ネットワークの活用が鍵となっている。

大成建設は、建設資材分野における脱炭素技術の研究・開発を推進しており、T-eConcreteのシリーズ展開を通じてCO2削減と資源循環の両立を図る戦略を進めている。

【プレスリリース】国内初の配合で新たな環境配慮コンクリートを共同開発
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