大成建設株式会社は3月5日、オランダに本社を置くMadaster社と提携し、Madaster社が開発したプラットフォームの国内建設物への適用検討を開始するとともに、日本版の建設物資源循環データプラットフォームの構築に着手したと発表した。埼玉県幸手市で建設中(2024年3月時点)の「大成建設グループ次世代技術研究所」で、同社が開発したプラットフォームの試用を通じて、建設物のライフサイクル全体で使用される各建材・設備および建設物全体の資源循環に関するデータ解析を行い、課題抽出と改良を加え、日本版プラットフォームの構築を行っていく予定。

国内の産業界では、廃棄物の再利用に加え、建材・製品などの設計段階から廃棄物やCO2などの排出を抑制し、資源を循環させて有効利用するなど、サーキュラーエコノミーの推進が重視されている。

一方、建設物に使用される建材や設備は、構造部材(鉄・コンクリート・木質など)や外装材(ガラスなど)、内装材(石こうボードなど)、設備部材(空調・衛生など)を含み多岐にわたる。また、調達、施工、運用・維持管理、解体まで建設物のライフサイクルは長期間にわたり、各建材・設備等の交換時期は使用状況に応じて異なってくる。

そのため、建設物のライフサイクル全体で使用される建材・設備などを、サーキュラーエコノミーの観点から統合して管理する仕組みづくりが急務となっている。

Madaster社のプラットフォームは、オランダの原単位等を用いて各指標の算出を行っているため、一部の機能が日本の実情に適合していないという課題がある。今回の試用で取得するさまざまなデータを解析し、日本に適した建設物の資源循環データプラットフォームの構築を目指す。

具体的には、建物や橋など建設物のCAD(BIM/CIM)データと資材仕様やトレーサビリティに関するExcelデータを連携させ活用することで、建設物のライフサイクル全体で使用される各建材・設備および建設物全体でのサーキュラリティの数値化やCO2排出量の算出により、可視化できるとしている。

また、今後構築する日本版では、設計段階から資源循環性が高く、CO2削減にも配慮した建設物のライフサイクルを踏まえた効率的な計画策定と維持管理の実現を目指している。解体時には、建材ごとに再資源化の程度も予測でき、建設物のマテリアルバンクとしての機能も期待されるという。

【プレスリリース】オランダMadaster社と提携し、日本版建設物資源循環データプラットフォーム構築に着手
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(※画像の出典:大成建設株式会社)