世界経済フォーラムはこのほど、メキシコシティ・ブリュッセル・トリノ・バンコクの世界4都市で、循環型イノベーションハブを発足させたことを発表した。同プログラムは若者主導の草の根パイロットプログラムで、循環型アプローチの支援を目的とする。世界経済フォーラムが主催する2つの循環型経済イニシアチブであるScale360°とGlobal Shapers Communityが共同で開始した。
2030年までに持続可能な開発目標を達成するには、既存の商品やサービスとこれからのイノベーションとの結びつきを変革する新しい循環的アプローチが必要であると世界経済フォーラムは考えている。そこで、4都市の循環型イノベーションハブは、地域需要に合わせた循環型経済ソリューションの支援を企画・組織・提供する。同プログラムにおいてScale360°は、市民・政府・業界における専門家や経営層のネットワーク全体のつながりを促進して、循環型イノベーションを進めていくとしている。同ネットワークには、循環型経済を加速するためのプラットフォーム(PACE)や第4次産業革命センターなどが含まれる。Global Shapers Communityのハブ都市の代表者と協力者は、Scale360°独自の試験済み方法論であるScale360° Circular Innovation Playbookを利用して、第4次産業革命の影響を迅速に追跡する予定だ。
このような取り組みは、システム変更をもたらす鍵である。世界経済フォーラムとScaleUpNation(※1)は2021年1月に公表した調査で、産業規模の循環ソリューションに取り組む「先駆的な」企業を見つけることは、業界全体に連鎖的な影響を与える可能性があると発表している。これは、従来の商用ソリューションでは不可能だったという。
Scale360°のグローバル主任であるヘレン・バーデット氏は、「選ばれたGlobal Shapers Communityの各パイロットリーダーは異なる視点を持ち、循環イノベーションを環境上の必須事項としてだけでなく、ビジネス機会として認識しています。当プロジェクトを実施するなかで、各都市がどのようにScale360°プログラムを提供するかを確認したいと思っています」と述べている。
サーキュラリティ・キャピタル(※2)のパートナーで、Scale360°の取締役であるジェイミー・バターワース氏は、「私たちは、リニア型経済からの転換点にいます。Scale360°ハブは協働によるイノベーションをさらに促進し、より回復力のある循環型経済への移行を加速するうえで重要な役割を果たします」と語っている。
メキシコシティハブScale360°プロジェクトの共同主任であるサラ・リー氏は、「当イニシアチブによって、自らの活動の世界的な可能性を想像しながら地域に影響を与えられます。地域と世界を考慮に入れることは、循環型の未来に向けて前進するのに役立ちます」と話している。
※1 ScaleUpNation:革新的なベンチャー企業の事業拡大支援を目的とする、オランダに本拠を置くプラットフォーム
※2 サーキュラリティキャピタル:循環型経済の成長と革新を支援して投資家に価値を提供することを使命とする、英国に本拠を置くプライベート・エクイティファーム
【プレスリリース】Young change-makers will power circular economy innovation in hubs around the world