2022年に環境省の「脱炭素先行地域」に選定された横浜・みなとみらい21地区における脱炭素・資源循環の取り組みのさらなる加速に向けて、ヨコハマSDGsデザインセンター、横浜市、一般社団法人横浜みなとみらい21の連携により立ち上がった「みなとみらいサーキュラーシティ・プロジェクト」。その開始を記念し、2023年3月24日、Y-PORTセンター公民連携オフィス GALERIO(ガレリオ)にて「脱炭素へ皆TRY!みなとみらいサーキュラーエコノミー会議」が開催されました。
当日は、みなとみらい21地区でサーキュラーエコノミー・資源循環の取り組みを展開されている企業と教育機関から3名が登壇し、それぞれの取り組み事例の共有、今後の展開に向けた課題や可能性について参加者の皆様と対話・議論するパネルディスカッションが行われました。本記事では、パシフィコ横浜・佐藤利幸氏、横浜ロイヤルパークホテル・青山茂久氏、神奈川大学・田中純平氏による、各社・団体の取り組みの紹介、パネルディスカッションの様子をレポートします。
左からヨコハマSDGsデザインセンター加藤 佑 氏、神奈川大学 田中 純平 氏、横浜ロイヤルパークホテル青山 茂久 氏、パシフィコ横浜 佐藤 利幸 氏
みなとみらいのサーキュラーエコノミー推進に取り組む三者の活動紹介
▽パネリスト:
佐藤 利幸 氏(パシフィコ横浜 総務部担当部長兼経営企画課長 SDGs推進担当兼DX推進担当)
青山 茂久 氏(横浜ロイヤルパークホテル マーケティング部 次長)
田中 純平 氏(神奈川大学・社会連携センター課長補佐)
▽ファシリテーター:
加藤 佑 氏(ヨコハマSDGsデザインセンター)
廃棄物削減とリサイクル100%を目指すイベント会場の取り組み
初めに、登壇者3名からそれぞれのサーキュラーエコノミー、資源循環に関する取り組みについてお話がありました。まずは、国際会議の開催件数において日本で第1位のパシフィコ横浜の佐藤利幸氏からごみの分別を中心とした取り組みの説明が行われました。
佐藤利幸氏(以下、佐藤氏)「昨年みなとみらい地区が『脱炭素先行地域』に指定されたということを受け、今年度に入ってから、社内でSDGsプロジェクトが立ち上がりました。そこから今、脱炭素と資源循環を柱にしながら、8つのマテリアリティを特定し、その解決に向かって進んでいこうと計画しているところです。
そのなかで私たちが行っているのが、7種類のごみ箱を設置したごみの分別です。全て回収し、ごみ処理室でさらに10分別まで行っています。食品廃棄物についてはバイオマス発電に回し、施設に隣接した臨港パークで再利用する取り組みも行っています。おかげさまで横浜市の3R活動優良事業所に11年連続で認定をいただいています。
一般的なオフィスビルに関しては、年間を通して出る廃棄物の量はある程度一定だと思いますが、イベント施設ではイベントの開催状況や開催時期によって変わってきます。コロナによって催し物の件数はぐんと減り、廃棄物の量も減ったのですが、リサイクル率の数字は悪くなりました。背景には、産業廃棄物はほぼ100%リサイクルされている一方で、一般廃棄物はリサイクルされにくいという事情があります。ですので、一般廃棄物の量をいかに減らすかがポイントだと思っております。
また、廃棄物カルテの作成も行っており、イベントの主催者様に対してイベントで出た廃棄物の量や内訳などの情報をお伝えしています。こうした廃棄物の見える化ができると、お客様と相談しながら次のイベントではどうやって廃棄物の量を減らしていけそうか、というご相談ができるようになります。
弊社のお客様はリピーターが約5、6割ということもあり、例えば『この部分は印刷物ではなく電子媒体でやりましょう』といったご相談をお客様と一緒にしながら、次の開催に向けて廃棄物削減を目指していくことができます。
今後は、このように廃棄物の量を減らすための工夫を進め、出された廃棄物は全てリサイクルに回すことでリサイクル率100%の達成を目指していきたいと思っております」
ホテルの「ロス」を減らしながら、お客様や従業員への浸透を
続いて、横浜ロイヤルパークホテルの青山茂久氏からは、レストランから出る食品ロスやロスフラワーの取り組みなど、ホテルならではの活動について伺いました。
青山茂久氏(以下、青山氏)「私どもホテルという業態は、SDGsとは相反する部分も多いと感じております。余暇を楽しむなど、贅沢な体験のためにお越しいただく方が多くいらっしゃることから、節約や循環を意識しすぎてしまうとご利用いただくお客様をがっかりさせてしまうことに繋がりかねません。そこが、我々にとって一番工夫が必要なところかなと思っています。
その中で、これまでにいくつか取り組んできたことがあります。例えば、2022年初頭に客室の一部をリニューアルしました。ホテルは経年劣化するので定期的にリニューアルをしていくのですが、今回は一部のフロア(100室強)をSDGsを意識した方法で改装しました。アメニティを植物由来の藁を原料にしたものに変えてプラスチックの含有量を40%削減したり、お部屋に備え付けるミネラルウォーターを再生型のペットボトルにしたり。また、部屋の中にある机や椅子については、もともと上質な製品を設置していたことから、新しいものを用意せず、リタッチやシートの張り替えといった工夫で対応しました。さらに、不要になった羽毛布団は企業様に引き取っていただき再利用してもらうグリーンダウンプロジェクトも実施しております。
それからホテルの大きな課題の一つが、食品ロスです。お客様をがっかりさせないためにもある程度の品揃えを用意し、選べる楽しさをご提供することでお客様の期待を裏切らないようにしたいという想いがあるのですが、それによる食品ロスが課題となっておりました。
そこで、外部の会員制フードシェアリングアプリを通じて、売れ残りそうな食品を安価で販売し、お客様に引き取っていただく取り組みを始めました。近隣のオフィスワーカーや住民の方など、会員サービスに登録されてる方に通知が入り、買い求めに来られるという仕組みです。特にホテルのパンは非常に好評で、大抵は全てお引取りいただいておりますが、それでも余ってしまうパンなどは消費期限が翌日まで持つものはホテル内のクラブラウンジで無償でご提供するようにしました。それによって、お客様がチェックアウト時にショップに立ち寄りパンを購入して帰ってくださるなど、良い効果も生まれています。
また、裏方のキッチンでは、できるだけ廃棄をする食材をなくしていこうと、本来であれば廃棄してしまうニンジンの先やキャベツの外側の葉など野菜の切れ端をブイヨンの出汁にしてご提供しています。先日実施したみなとみらいの盆踊り大会では、このブイヨンを使用したカレーを提供し、地域の皆さまへ取り組みをお伝えしました。また、野菜などの皮は、オーブンに入れて乾燥させたり、ミキサーにかけて細かく砕いたりして、料理の香りづけや飾りとして使用しております。
食品以外の面では、ロスフラワーの取り組みも行っております。ホテルには装飾用のお花が多くあります。特に、ロビーではかなり大きなスペースでお花を提供しており、元気がないお花はなるべく早いうちに交換していきます。ただ、交換用も含め、まだまだ楽しめるのに廃棄しなければいけないお花が毎週出てしまっていました。こうしたロスフラワーを1年程前からブーケという形でホテルのショップで販売しています。お弁当やパンを買っていただいたついでにご購入いただけるように安価で販売しております。
また、特に母の日などにはかなりのお花が余ります。そこで、近隣の子ども食堂に寄付させていただき、お子様が母の日にお母さんにお花をプレゼントできるような取り組みも行いました。
その他、地産地消の取り組みも行っており、近隣県内の農家さんと提携し、神奈川県野菜を中心にレストランで提供しております。地域のお野菜はなかなか安定していつも同じ野菜が同じ量だけ入るということがなく、ホテルにとっては致命的になることもあるのですが、これを逆手にとり、毎日日替わりで入る珍しい食材や開発中の野菜などを地元の農家の方から取り寄せています。鉄板焼のレストランでは、お客様に食材を選んでいただき、『地元のお野菜を使っているんです』といったお話をしながら、目の前で調理してご提供しています。こうした会話があることで親しみやすさにも繋がっていると感じています。
最後に、昨年の9月のSDGs週間に、アメニティを極力入れない宿泊プランを実施しました。ご自宅からアメニティを持参いただくことはまだまだご理解いただくのが難しいと感じましたが、継続的に続けていくことで浸透していくのではないかと思っております。社内でもサステナビリティの機運は高まっておりますが、まだ全員に浸透しているわけではありません。全社員がきちんと同じ方向で向き合ってしっかり取り組めるようにというのが、これからの課題かなと感じています」
学生が街に飛び出し、実践的に学べる場を
続いて、神奈川大学の田中純平氏からは、教育機関ということで人材育成という観点からサーキュラーエコノミーに関する取り組みのご紹介がありました。
田中純平氏(以下、田中氏)「この2年程の間でいくつか地域の課題に資する学びのフィールドを創出すべく、プロジェクトを起こしてきました。本日はそのうちの二つをご紹介させていただきます。
一つは食をフィールドにしたものです。地産地消にこだわった想いの詰まったおいしい神奈川の食べ物を外部の方に露出していく手助けができないかということで、つくる人と食べる人を循環させて笑顔で繋いでいく『おいしいかながわプロジェクト』をパートナー企業と共同で立ち上げました。神奈川大学としては、様々な事業者さまから課題をいただいて解決していくところから取り組みを進めたいと思っており、そのなかで以前、わらび餅を提供されるお店の方から『若者に向けてわらび餅をどのようにPRすればいいか』という課題をいただきました。それに対して、学生たちが若者、消費者の視点からアイデアを発表し、そのアイデアを基にした商品が期間限定で販売されました。
また、みなとみらいのキャンパスの屋上では、ホップを栽培しております。ビールを作りたかったというよりも、地域との接点を作りたかったというところが背景にあります。学生と教職員だけではなく、地域の企業、団体様などにもホップ栽培のお手伝いをしてもらったほか、ビールの容器に貼るラベルを考えるワークショップも行い、地域との接点を作ってまいりました。
もう一つ、みなとみらいのキャンパスの1階では、デジタル工作機器を配備した『ファブラボみなとみらい』を運営しています。3Dプリンターやレーザー加工機を置いているものづくりの工房で、そこにある機器を用いてアイデアの創出だけではなく、試作品まで作ることができます。学生だけでなく地域にも開放し、学生と地域の皆様との接点を創出による、新たな知の創造も狙って運営しております。
本日の主題である『サーキュラーデザインの学び』については、経営学部のゼミで行ってまいりました。身近な暮らしの中で廃棄物がどのようなものがあるかをしっかり観察していくところから始め、それを別のものにアップサイクルするアイデア創出などをプロジェクトのなかで行ってまいりました。
例えば、『果物を食べるときに皮ってどうしてる?』という問いから始まり、『紅茶のマドラーにしたらいいんじゃないか?』『砂糖で固めてできないか?』というアイデアが出たり、ペットボトルのキャップで子どものおもちゃやカトラリーができないかといった案も出たりしました。
総合大学ですので、1つの学部にとどまらず、学部横断で学生たちを募り、サーキュラーデザインを学んでいくことも行いました。実際にサーキュラーエコノミーの事業でスタートアップとして取り組まれている企業様との連携で、リユース容器のシェアリングサービスについて情報や事業の課題を教えていただきながら、社員の皆様とともにディスカッションも行いました。実際に働いていらっしゃる社員の皆様とのディスカッションを通して、具体的な課題について向き合うことができ、学生たちも非常に刺激を受けておりました。
最後に、大学の学生向けのみならず、地域の皆様に向けてもサーキュラーエコノミーの啓発として何かできないかを検討し、本学が社会人向けに行っている生涯学習プログラムの中で連続講演会を開催をさせていただいております。このように学生が街に飛び出して、教科書や先生からの授業のみならず、実際に地域の皆様の課題に向き合う実践的な学びを創出できればと考えております」
パネルディスカッション
お三方それぞれのお取り組みのトークの後は、パネルディスカッションが行われました。モデレーターの加藤佑氏からは、現在の取り組みにおける課題を中心に、三者が実施されている活動についてより深く伺いました。
廃棄物を「見える化」する
加藤氏「最近会議とか国際会議、イベント等でサステナビリティ、資源循環にお客様もかなり気を使うケースも増えてきてるのかなと感じるのですが、そうしたトレンドがここ2、3年でどういうふうに変化していると感じられているか教えていただきたいです。
また、廃棄物カルテの取り組みをみなとみらい全域に上手く広げていければ、地域全体の廃棄物を可視化できる可能性もあるのではと感じたのですが、何かできそうなことや考えたことがあれば教えてください」
佐藤氏「国際会議に限らず、サステナブルな取り組みはかなり話題になってきています。そのなかで、イベント業界においてサステナブルな取り組みを進めていくためには、主催者の方の意識と会場の取り組みがかなり大きいと感じています。
佐藤 利幸 氏(パシフィコ横浜 総務部担当部長兼経営企画課長 SDGs推進担当兼DX推進担当)
主催者の方々のなかには、事業活動においてはサステナビリティに意識的に取り組んでいても、イベントの運営においてはそこまで求めてないのかな、という印象もあります。ただ、そうは言っても少しずつ意識が高まってきていることは感じますので、それに対応できるように準備を整えておくということが大事かなと思っています。
『廃棄物カルテ』については、皆さん作ろうと思えば作れるものだと思いますが、手間もコストもかかるので、やるかどうかという話はあります。ただ、やはり数値化しないと削減は進まないので、『見える化』は非常に大事だと思います」
「押し付けず」に伝えていく
加藤氏「続いて青山さんにお伺いしたいです。ホテルという特別な場所では、お客様からは快適さや一時の贅沢を感じたいなどの色々なご要望があるなか、サステナビリティを追求する難しさを感じました。お客様への満足度向上とサステナビリティを両立させていくために心がけていらっしゃることがあればぜひ教えていただきたいです」
青山氏「ホテルとして気を付けているのが、押し付けないことです。『もったいないから使わないでください』『サステナビリティを考えているので、これしかないですがご容赦ください』ということは決して言えません。ですので、なかなか一度に多くのことを進めるのは難しいと思っています。
特にご年配の方の中にはまだまだサステナブルな取り組みに理解がある人が多くありません。そうした方々に対して押し付けないように徐々に浸透させていくことが大事だと思っております。時間がかかってしまうとしても、露出を多くしていくことで、特別を当たり前にしていくようなことが大事かなと考えております」
青山 茂久 氏(横浜ロイヤルパークホテル マーケティング部 次長)
加藤氏「押し付けない、というところがポイントかなと思いました。ここ2年程でプラスチックに関する資源循環の新しい法律ができたり、私も最近行ったホテルでアメニティの置き方が変わっていたり、トイレットペーパーの使い切りが進んでたりと、少しずつ変わってきている印象を持っています。実際にお客様の反応に関して、この数年で変化はありますか?」
青山氏「やはり、進んで取り組みに協力していただけるお客様は増えています。トイレットペーパーの例では、以前は2つあるトイレットペーパーの両方が3分の1くらいずつ使われてるといったことも多く、清掃に入ると両方取り替えなければいけないことも多々ありました。
ですが、最近はお客様も意識されているのか、1箇所はシールを剥がず手付かずのままご利用いただくお客様が増えた、という話を清掃スタッフから聞きました。徐々にそういう意識は高まっているのかなと思っています」
加藤氏「続いて田中さんにもご質問です。先ほど話にありました、学生の皆様が企業や地域の方と繋がるプロジェクト形式の学びを通じて生まれた、学生の変化について感じたことがあれば共有いただけますか?」
田中氏「最初は、サーキュラーエコノミーや脱炭素のライフスタイルと言っても学生たちは正直ピンときていないなと感じました。そこで、ひとまず身近なものを一度観察し、転用してみようというふうに段階を踏んでいきました。そうすると、『これって当たり前のことだよね』『やるべきことだよね』『もったいないをなくそう』といったことを楽しみながら自然と感じるようになっていったように思います。
また、神奈川大学では明日、コーヒーかすを使って鉛筆をつくるワークショップを開催します。これは、私達の方から学生に対してやって欲しいと依頼したわけでなく、『実はワークショップ作ったんですよ』と学生の方から声をかけてくれたんですね。その学生は、サーキュラーデザインのアイデア創出のプロジェクトに関わっておりました。企業様と共に行ったプロジェクトだからこそ、その刺激により生まれた変化だとも感じています」
生活のなかにサーキュラーなライフスタイルを取り入れる大切さ
加藤氏「ありがとうございます。続いて、3社の皆様に共通の質問なんですけども、今お取り組みされてらっしゃることを進めようと思ったとき、課題になっていること、それを解決するためのアイデアがあればぜひ教えていただきたいです」
佐藤氏「今課題になっているのは、一般廃棄物をどうやって減らすかです。特に、イベントごとで使う資材は1回使ってごみになるケースが非常に多いんですね。イメージがつきやすいのは看板です。また、展示会のブースの装飾物は、木工で作りその上からお化粧していく場合、1回しか使えません。ですので、こうしたものをうまくリサイクルできる、ごみにならない工夫ができるといいなと思っています。これらの課題について相談しながらお客様にご提案ができると、よりサーキュラーエコノミーが進むのかなと思っております」
加藤「使い切りではなく繰り返し使えるような製品を求めていらっしゃるというとこですね。続いて、青山さんにも課題を伺えますでしょうか」
青山氏「私どもが食品ロス削減の取り組みを強化しているなか、あまり着手できていないのが、レストランのブッフェの残飯です。例えばブッフェ台に残った料理を容器に詰めてお弁当として販売するというアイデアも出たのですが、スタッフの業務内容が増えるといった諸々の課題が解決できず、うまく振り切れない状況です。また、レストランが終わる30分程前にご入店されるお客さまには半額で提供しようといった議論もしたのですが、そうなると正規の料金をお支払いいただいているお客様に不公平ではないかといった課題があります。
その他、サーキュラーエコノミーや脱炭素の実現を目指すためには、お客様、つまり一般消費者個人それぞれのご家庭でどれだけ二酸化炭素を削減できるかが全体の大体6割ぐらいを占めるという話を伺ったことがあります。企業間の努力は当然評価したいのですが、ホテルを訪れたお客様がご自宅に帰られた後に行動に移していただけるようにどのように伝えていくかは、地域や行政としてもこれから必要なのではないかなと感じております」
田中氏「今のお話の通り、普段の生活の中で取り入れる、ということが大切だと私も感じています。これから社会に出ていく若者にとって、それが当たり前になっていくのがとても大事だと思います。大学生もそうですし、小学生から高校生、地域の皆様の中でも、楽しみながら、脱炭素のライフスタイルが『当たり前』と感じていただける機会を作りたいと思っています。
田中 純平 氏(神奈川大学・社会連携センター課長補佐)
もう一点、私どもは学生に対して、実践的な学びを提供したいと思っているので、企業様と何か取り組みを行う際には、例えば学生が若手社員の皆様と一緒にアイデア創出のディスカッションをさせていただけたら非常に良い機会になると考えています。実際の事業に接する機会にもなりますし、サーキュラーエコノミーや脱炭素の理解も深まり、双方の人材育成に資するのではと思っております」
加藤氏「当たり前にしていくという点で、教育はやはり大事だと私も思っています。おそらく、今さまざまな企業が開発しているような循環型の製品とサービスが5年、10年後に世の中に出て行ったとき、それを欲しいと思う生活者の人数を増やす唯一の方法は、教育活動かなと思っています。企業と教育機関がうまく連携していくことで、将来的に市場が生まれ、企業にもメリットが生まれる取り組みに繋がっていくのかなと思います。
最後に、お三方から未来に向かってこんなことをやっていきたいという抱負を込めてコメントいただけますでしょうか?」
佐藤氏「やはり、脱炭素やサーキュラーエコノミーは一社だけではできないので、幅広い企業の皆様や自治体様と連携し、色々なアイデアを出したり技術を活用したりしながら、進めていくということが非常に大事だと思っております」
青山氏「ホテルという業態は、衣食住が目の前にあり、消費者に非常に近いところにあります。そういうこともあり、ご利用いただくお客様ご自身に意識していただき、実践してもらうことが大事だと思っています。企業間の連携ももちろん大切ですが、消費者個人のお客様がどれぐらい意識できるかが、地域全体の脱炭素に繋がってくると思います。そういった形で役割を果たすことができればと思っています」
田中氏「社会人になる一歩手前の若者の育成を行うのが大学ですので、社会に出る前に学生が、サーキュラーエコノミーや脱炭素を当たり前に意識をしていくことが大切だと感じています。いきなり学生全員に向けた施策を行うのは難しいのですが、一つ一つの小さな学びの場の創出を広報し、それを見る方の気づきを誘発できればと思っています」
編集後記
今回ご登壇されたお三方は、同じ地域のなかで異なる分野からサーキュラーエコノミー、脱炭素の加速に向けて取り組んでいます。それぞれの活動内容が違いますが、だからこそ、手を取り合い、足りない部分を補い合って地域全体のより良い未来に貢献していけるのだろうという可能性を感じました。
カンファレンス中、何度も「一社だけでは難しい」という言葉が出てきました。今回のカンファレンスに来ていた多様な参加者の皆様はもちろん、記事を読んでくださっている皆様、何より地域に生きる一人ひとりが、持っている知見を活かしあうことができれば、サーキュラーエコノミーの取り組みは一気に加速していくのではないでしょうか。そのためには、地域の人とつながり、悩みを打ち明け合い、助け合っていくことが重要だと感じました。
【参照サイト】ヨコハマSDGsデザインセンター「みなとみらいサーキュラーシティ・プロジェクト」
【参照サイト】パシフィコ横浜 サステイナブル
【参照サイト】横浜ロイヤルパークホテル SDGs
【参照サイト】神奈川大学 SDGsへの取り組み
【関連記事】【3/24】「脱炭素へ皆TRY!みなとみらいサーキュラーエコノミー会議」を開催します
【参照サイト】【3月24日】脱炭素へ皆TRY!みなとみらいサーキュラーエコノミー会議
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「Circular Yokohama」からの転載記事となります。