政府は3月13日、環境配慮契約法に基づく「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針」の変更を閣議決定した。今回の見直しでは、公共調達において価格だけでなく環境面の取り組みを評価する仕組みが強化され、電力調達契約において総合評価落札方式が導入された。環境省は同時に、2026年1月19日から2月17日まで実施したパブリックコメントの結果も公表している。
今回の改定は電力調達に関する制度変更として打ち出されているが、循環経済の観点では、公共調達を通じて環境配慮や資源効率の高い事業者を選好する仕組みを強化する動きと捉えられる。たとえば建築では、設計段階で長寿命化や省エネ性能、再生可能エネルギーの活用などが考慮されるほか、維持管理段階ではエネルギー使用データの分析や運用改善が求められ、改修段階ではESCO事業などを通じた省エネルギー改修の導入が進められている。環境配慮契約法の対象は電力にとどまらず、自動車や建築、ESCO事業など広範な分野に及び、政府の温室効果ガス排出の大部分に関係する。こうした調達基準の設計は、企業の行動や技術選択に影響を与える需要側の政策手段として機能する。
具体的には、電気の供給を受ける契約において、従来の裾切方式(一定の環境基準を満たした事業者の中から価格で選定する方式)から、温室効果ガス排出係数、再生可能エネルギー電気の導入状況、未利用エネルギーの活用、追加性のある再エネ導入、地域における持続的な再生可能エネルギーの創出・利用に向けた取り組み、電源構成や排出係数の開示状況などを総合的に評価する方式へと見直された。
あわせて、再生可能エネルギー電気の調達に際しては、「地域共生が図られていない発電施設」で発電された電気の調達を避けることが明記された。これは、再エネ導入の量だけでなく、その立地や地域社会との関係といった外部性を評価の対象に含める動きといえる。一方で、「地域共生」の定義や判断基準は基本方針には明記されておらず、今後、解説資料や関連資料で示される見通しだ。
パブリックコメントでは6件の意見が寄せられ、CO₂以外の温室効果ガスへの言及の後退や、2050年ネット・ゼロ目標の扱い、再エネ評価に価格を組み込むことへの懸念などが指摘された。これに対し環境省は、基本方針は引き続き「温室効果ガス等」の排出削減を対象としており、総合評価落札方式により環境配慮と価格を総合的に評価できると説明している。
また、再生可能エネルギー電気の割合は、総合評価落札方式においても標準点の取得条件および加算評価項目として位置付けられており、小売電気事業者の再エネ導入状況も評価対象に含まれる。
【参照サイト】環境配慮契約法基本方針の閣議決定及び意見募集(パブリックコメント)の結果について
【参照記事】国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針
【参照記事】令和7年度環境配慮契約法基本方針改定に係るパブリックコメント意見及び対応方針
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