ヨーロッパプラスチック産業団体のEuPC(European Plastic Converters)は4月8日、欧州連合理事会に対し使い捨てプラスチック指令実行延期を要請するオープンレターを提出した。ヨーロッパで猛威を振るう新型コロナウイルスから消費者を守ることが優先される中、衛生・安全・汚染防止目的で使い捨てプラスチック同様の効果を発揮する代替素材を確保することは容易ではないことを理由としている。

オープンレターの中でEuPCは、使い捨てプラスチックの使用禁止は変わらず重要であり達成すべき目標であるとした上で、目標達成期限を少なくても1年延長するように要請している。延長することにより、加盟国各国が新型コロナパンデミックの中で人命救急という、より緊急度の高い措置を優先する猶予を与えるためだ。

EU理事会は2019年5月21日、使い捨てプラスチック製品の流通を2021年までに禁止する法案を採択していた。ストローやカトラリーなど一般的に利用されている使い捨てプラスチック製品が禁止対象となっており、加盟国各国は現在目標達成に向けた法整備や施策の実行に動いていた。

4月1日には、イギリス・スコットランド政府が議会でサーキュラーエコノミー法案の成立先送りを表明。政府内閣で環境を担当するロザンナ・カニンガム長官は、世界の環境危機と廃棄ゼロの目標に対してスコットランドはコミットしており、目標達成に向けた取り組みを続けることには変わらないものの、新型コロナウイルス対策に大きく人員と時間を割かれることを理由に今期中の法案施行は現実的でないとした。

新型コロナウイルスは、世界中で多くの人の命を奪い、経済的・社会的な断絶や困窮を招くだけでなく、一見逼迫した課題であるサーキュラーエコノミーへの移行においても暗い影を落とすように見える。しかし今までの概念の経済が機能しない中、災害や世界危機にも対応できる高いレジリエンスをもった経済としてのサーキュラーエコノミーの完成はこれまで以上に一層求められている。

【参照記事】Subject: COVID19 – request for a recast or postponement of the Single-Use Plastics Directive
【参照記事】Scottish Government “Climate Change Plan update”