アメリカ・ニューヨークのスタートアップ支援 Newlab(ニューラボ)によるCircular City Studio 2020(サーキュラーシティスタジオ2020)プログラムはこのほど、スタートアップ企業4社を選定したことを発表した。大気汚染マップの作成や廃棄ゼロの日用品の普及、ビルのエネルギー効率の管理、海洋ごみの削減、水質データの収集を事業領域とするスタートアップ企業がニューヨーク市で活動する予定だ。

同プログラムは、ニューヨーク市経済開発公社(New York City Economic Development Corporation)からの支援を受け、2018年に開始した。ニューヨーク市の複雑な課題を解決するため、有用な技術の開発・採用・投資に力を注ぎ、サーキュラーエコノミーへの移行とビルのエネルギー効率向上を目指す。ニューヨーク市における新型コロナ危機後のサステナビリティを前進させていくものとなるだろう。

今回の募集には、アメリカの13の州と世界16ヵ国からの応募があった。そのなかから選ばれた4社と主な活動は次の通りだ。

  • Aclima(アクリマ):区画ごとあるいは世界規模での大気汚染や温室効果ガスマップを作成する。気候変動が進むなか、大気汚染や廃棄物を可視化する地域レベルのセンサーネットワークを展開。
  • Algramo(アルグラモ):家庭用洗剤・洗浄剤・その他日用品を、廃棄物を排出しない形でお手頃な価格で購入できる分配型システムを展開。消費者はオンス(約29.6ml)あたり最も安い値段で購入できる。リフィル型システムのため必要な分だけ購入することが可能となる。さらに、人と接触しないで買い物ができる方法を採用する。
  • Sapient Industries(サピエント インダストリーズ):SaaS(Software as a Service、サービスとしてのソフトウェア)型のウェブサイトとスマートプラグやスマートパワーを連携させて、ビルのマネジメントソリューションを提供する。また、スマートデバイスを使用してエネルギーのデータを集め、関連設備を通して各ソケットへの電力供給を管理する。
  • RanMarine USA(ランマリンUSA):水質データの取得や水路に漂う海洋ごみ削減のため、自動ドローン技術を活用し水を安全で綺麗に保つことを目標としている。年間約800万トンのごみが海に流れているなか、RanMarine USAの開発したドローン「WasteShark」は海洋ごみの予防・緩和・清掃の負担を軽減させる。

Aclima とAlgramoは循環型経済への移行を支援する事業、Sapient Industriesはビルの温室効果ガスの大幅な削減を求める条例97(Local Law 97)の遵守に役立つ。RanMarine USAはガバナーズ島周辺の海洋環境の改善および水質データを収集する。

各社はニューラボと綿密に協議し、「生きた実験室」として1ヶ所以上で展開する予定だ。同プログラムの成功には参加企業同士の協働が重要だという。毎月、企業やステークホルダー、アドバイザー、専門家をつなげるバーチャルワークショップを開催するとしている。

各国で採用されている外出自粛要請の政策などにより、一時的に大気汚染の改善が進んでいるという報告がある。経済活動が再開していくなか、よりサーキュラー型の取り組みが求められる。その取り組みには、同プロジェクトが大切にしているように、企業間の協働がキーワードとなるだろう。

【参照記事】Announcing the Circular City Studio 2020 Cohort