環境省は、資料「令和5年度検討結果 日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計」で、日本からのプラスチックごみの海洋への流出量について、発生源・品目別に積み上げた推計結果を11,000トン~27,000トン、マクロ統計データを用いた推計結果を2,300トン~24,000トンと発表した。

日本は、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提唱、世界87の国と地域で共有されている。さらに2023年5月広島サミットでは、2040年までに追加的なプラスチック汚染ゼロを目指し、プラスチック汚染を終わらせることをコミットするなど、取り組んできた。

プラスチック汚染に関する科学的知見の整備や効果的な発生抑制対策の事例提供が求められる一方で、プラスチックごみの環境中への流出量については、国際的に合意された統計や推計手法は確立しておらず、流出量の実態把握は各国共通の重要な課題となっている。

環境省は「各国がそれぞれの状況を適切に把握し、海洋プラスチックごみ対策を着実に進めるための基礎情報として、海洋を含む環境中へのプラスチックごみの流出量に関して総量や内訳データベース(流出量インベントリ)の作成が非常に重要。世界全体で比較可能な流出量推計の共通手法が必要」としている。

今回の推計では、1.「発生源・品目ごとの推計・評価手法(発生源ごとの算出式、流出率、摩耗率等の係数を設定)」、2.「プラスチック製造量・消費量・廃棄量等マクロ統計データを用いた総流出量の推計手法」、3.「1、2のアプローチを踏まえた世界共通の海洋等環境中へのプラスチックごみ流出量インベントリ作成手法」という3つの観点から、プラスチックごみの海洋へ流出総量や内訳データベース(流出量インベントリ)の推計・評価手法の検討を行った。

日本から海洋へのプラスチックごみの流出総量や内訳の推計(流出量インベントリ)については、1、2の手法で検討。2023年度においては、1の発生源・品目別に積み上げた流出量の推計結果(11,000~27,000トン)、2のマクロ統計データを用いた流出量の推計結果(2,300~24,000トン)に大きな差はなかったと結論付けた。また、マクロ統計を用いて、試行的ではあるものの日本からの「河川を経由して海洋へ流出するプラスチックごみ総量」を初めて推計できたとしている。

ただし、発生源・品目別のそれぞれの推計量も含め、推計値には幅があり、その幅は算出時に用いる推計式や使用するデータの不確実性を反映しているとも指摘。これらの結果は2023年度時点で入手可能な情報に基づく「暫定式・値」であり、推計値の精度については「留意点・課題」としている。

また、発生源から海洋への流出経路や動態が考慮できていない等の課題もあるとし、関連する調査や研究結果を踏まえ、引き続き精緻化・更新を行う方針。

【プレスリリース】日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計
【参照記事】令和5年度検討結果 日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計
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