環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省はこのほど、「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を連名で公表した。

戦略のねらいは、ネイチャーポジティブの取り組みは企業にとって単なるコスト増ではなく、自然資本に根ざした経済の新たな成長につながる機会であることを示し、実践を促すことだ。

企業が自社の価値創造プロセスに自然保全の概念を重要課題(マテリアリティ)として位置づける経営への移行の必要性、移行に当たって企業が考慮すべき要素、新たに生まれる事業機会の具体例、ネイチャーポジティブ経営への移行を支える国の施策をまとめた。

戦略策定にいたった背景は、次である。2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、2030年までの世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択。2030年ミッションとして、ネイチャーポジティブが掲げられた。

新たな国際目標の達成に向け、2023年3月に政府は「生物多様性国家戦略2023-2030」を閣議決定し、同戦略における2030年ミッションを達成するべく「5つの基本戦略」を掲げた。ネイチャーポジティブ経済の実現は、基本戦略3に定められた。

世界経済フォーラムの推計をもとに、日本においてネイチャーポジティブ経済への移行により生まれる事業機会の規模は2030年時点で約47兆円と環境省は試算した。そのうち、4分の3以上は炭素中立や循環経済との関連性が高いとしている。

【プレスリリース】ネイチャーポジティブ経済移行戦略の公表について
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する金融投資メディア「HEDGE GUIDE」の「国、「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」公表。自然再興と経済の新たな成長目指す」の転載記事です(一部表現を改変しています)。