政府の2025年度予算案編成に向けて、各省庁からの概算要求が2024年8月末に出そろった。政府は2020年の循環経済ビジョン2020を受けた具体策として、2023年に成長志向型の資源自律経済戦略
を策定。2024年8月に第五次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定された。政府は同年内にサーキュラーエコノミーに関する政策パッケージを取りまとめる予定としており、主要各省庁から循環経済・社会の構築に関わる施策での予算要求が出された。
各省庁からの循環経済に関する主な要求内容は以下の通り。
経済産業省
サーキュラーエコノミーの実現(再生材利用拡大と、製品の効率的利用等を促す動静脈連携のための制度検討や支援)
- 産学官連携による自律型資源循環システム強靱化促進事業 55 億円(うちGX経済移行債で35 億円)
- 資源自律経済システム開発促進事業 27 億円(うちエネルギー特別会計で15 億円)
- 資源自律経済確立に向けた産学官連携加速化事業 25 億円(新規、エネ特)
- 長期海洋生分解性プラスチック評価技術開発事業 4 億円(新規、エネ特)
環境省
▼循環経済への移行による産業競争力の強化、経済安全保障の確保
- 再資源化事業等高度化法の活用による事業者間連携の推進 6億円(新規)
- 自動車における再生材供給拡大に向けた産官学連携推進事業 7億円(新規)
- 脱炭素型資源循環設備導入・実証 100億円(エネ特)
- ASEAN各国のE-wasteの適正な回収・リサイクルへの協力による国際金属資源循環の促進 1億円
- 廃棄物等の輸出入適正化の推進 2億円
- 環境対策が不十分なヤード対応等の推進 3億円
- 資源循環ネットワーク形成及び拠点の戦略的構築に関する調査事業 2億円(新規)
- 地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証 19億円(エネ特)
- CCUS 早期社会実装のための環境調和の確保及び脱炭素・循環型社会モデル構築事業 45億(エネ特)
▼資源循環にも資する豊かな地域やくらしの実現
- 地域の資源循環促進支援事業 2億円
- 太陽光パネル、小型家電等の循環資源利用高度化の促進 4億円(一部エネ特)
- 食品ロス削減、サステナブル・ファッション、使用済紙おむつ、プラスチック等の資源循環、リユースの促進等による循環型社会の実現に向けた支援 11億円
- 地域共生型廃棄物発電等導入促進事業 13億円(新規、エネ特)
- 地域循環共生圏の創出・拡大(地域循環共生圏創造事業費) 4億円
▼国際ルール形成の主導と循環産業の海外展開推進
- 企業の循環性情報開示スキーム及び循環性指標の整備等 3億円
- 海洋プラスチックごみ総合対策費 46億円
また、先進的な資源循環投資促進事業をはじめとするGX関連は事項要求となっており、今後増える可能性がある。さらに、太陽光パネルのリサイクル促進に向けた制度的な対応を行うとしている。
国土交通省
▼脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進
- グリーンインフラ、まちづくり GX 等のインフラ・まちづくり分野における脱炭素化の推進 193億円
- サーキュラーエコノミー・循環型社会に対応した建設資材の再資源化等の推進
- 下水道事業におけるバイオガス発電等による脱炭素化、下水汚泥資源の肥料利用の推進 などを含む
- カーボンニュートラルポート(CNP)の形成、持続可能な航空燃料(SAF) の導入促進、ゼロエミッション船の導入促進等の交通分野における脱炭素化の推進 156億円
- シップ・リサイクル事業の高度化による好循環の創出
- 持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた環境整備 などを含む
農林水産省
▼カーボンニュートラルの実現、花粉症解決に向けた森林・林業・木材産業総合対策
- 循環利用に取り組む林業経営体への森林の集積・集約化、国産材安定供給に向けた林業・木材産業の生産基盤強化、林業のデジタル化・ イノベーションの推進、JAS構造材やCLT等の建築物への利用 156億円
- 森林吸収源の機能強化、国土強靱化に資する森林整備・治山対策の着実な推進 1489億円
▼水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化
- 共同利用施設の整備、漁場生産力の強化やブルーカーボンに資する藻場・干潟の保全等の多面的機能対策の実施、漁場環境の改善 56億円
【参考】
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木村 麻紀
環境と健康を重視したライフスタイルを指すLOHAS(ロハス)について、ジャーナリストとしては初めて日本の媒体で本格的に取り上げて以来、地球環境の持続可能性を重視したビジネスやライフスタイルを分野横断的に取材し続けている。サーキュラーエコノミー(CE)における関心領域は、CE×社会包摂的まちづくり、CE×教育など。SDGs.tv公認ラーニングコーチ。
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