2023年3月、EUで「修理する権利」法が可決された。一足先にフランスが、それに続いてドイツのザクセン州、テューリンゲン州、ベルリン州などが、電化製品の修理補助金を市民に提供する「リペア(修理)ボーナス」制度を開始した。

ベルリン州では、壊れた掃除機やカメラ、スマートフォン、スムージーメーカーなどの家電製品・電子機器の修理代の一部を州が補助金提供という形で負担する。同取り組みの目的は、家庭で使用する電化製品の耐用年数を延ばし、無駄な消費を省いて廃棄を減らすことだ。市民には、修理費用として年間最大200ユーロ(約3万2000円)の補助金が支給される。

仕組みは簡単だ。市民が故障した電化製品を修理店に持ち込むと、州は修理代金の50%と修理に使用される新部品の費用を100%補助する。市民は修理費用が記された請求書をオンラインで提出するだけで補助金を申請でき、修理費用が記された請求書をオンラインで申請すると半額が返金される。

補助金は、故障した電化製品の保証期間に関係なく提供される。ただし、18歳以上でベルリン市民として市に登録していること、請求書を申請して補助金を受け取る人は同一人物に限るといった条件がある。

ドイツには、修理に精通した専門家がボランティアで常駐している「リペアカフェ」が1200軒以上ある。リペアカフェに故障した製品を持ち込む場合は、修理費用全額が払い戻される。

2024年9月に同制度を開始したベルリン。補助金に関する予算が当初の予定の半分に減額されたため、2025年も制度が継続されるかどうかは未定だが、2024年12月31日まで市民は補助金を申請できるという。

コロナ禍以降、自転車や服などの「修理」が身近になった人も増えたのではないだろうか。人々は修理するなかで、廃棄を削減するだけでなく、モノを大切にするマインドを学べる。ベルリンの補助金制度はこうしたマインドを根付かせる一助になるかもしれない。

【参照サイト】Right to repair: Making repair easier and more appealing to consumers
【参照サイト】Berlin launches ‘repair bonus’ for home appliances today
【参照サイト】Berliners can now apply for repair subsidy to fix electronics
【参照サイト】Livin’ on repair: The workshops, garages and cafes of Berlin’s thriving DIY scene
【参照サイト】CULTURE:Recycling In Germany
【参照サイト】Reuse and Repair in a Circular and Social Economy
【参照サイト】Re-Use Berlin
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※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「IDEAS FOR GOOD」からの転載記事です(一部表現を改変しています)。