1) サーキュラーエコノミーの動向
環境保護と廃棄物管理における先駆者としての歴史
オーストリアでは、1970年代に環境保護への取り組みが始まっており、これまでに環境規制の整備および関連政策・規制の整備も行われてきた。2000年には、持続可能な開発を目的とした国家戦略が打ち出され、2002年には、連邦政府の政策・行動計画が確立。その後2010年には、連邦政府および州政府レベルにおける施行計画への共通枠組みが設置されている。また、欧州の他国に先駆けて、80年代には既に廃棄物の分別回収とリサイクルシステムを導入しており、EUの中でも廃棄物管理に関しては牽引してきたといえる。一般市民レベルにおける廃棄物管理や環境保護への認識も非常に高い。
EUレベルで推進される新たなサーキュラーエコノミーへ
一方で、EUが打ち出した循環型経済行動計画におけるサーキュラーエコノミーの定義では、廃棄物管理にとどまらず、資源削減・製品の設計変更・再利用・クローズドループシステムの構築を推進するものである。そのため、国内での採択にあたっては、これまでオーストリアが誇ってきた環境保護と廃棄物管理における焦点をさらに拡大・変更を行う必要が生じた。サーキュラーエコノミー推進団体Circular Futures によると、EU定義を国内政策に反映するにあたり、これまでに浸透していた廃棄物管理の概念や確立されたインフラストラクチャーの変更の必要性に対して、国内では戸惑いが生じ政治家の間で合意に至らず、サーキュラーエコノミー取り組みへの政策施行が遅れているという。
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