プラスチック汚染対策についての法的拘束力を持つ国際条約の制定に向けて、4月30日までカナダ・オタワで行われていた政府間交渉第4回会合(INC-4)が閉幕した。これを受けて、会合に参加した国際環境NGOのWWFジャパンとグリーンピース・ジャパンが共同でオンライン会見を開き、会合の総括を行った。

財政措置と懸念される化学物質について会合間作業で議論継続へ

それによると、条約締結に向けたドラフトの簡素化には一定の進捗が見られたが、世界共通ルールの合意は持ち越した形となった。また、前回のINC-3では実施できなかった会合間作業については、財政パッケージと(問題ある)プラスチックや懸念される化学物質および製品設計という2つのテーマで2024年8月後半にバンコクで開催することが決まったものの、一次ポリマー削減については取り扱われないことになったという。

今回のINC-4では、日本政府はプラスチック生産の一律削減には明確に反対し、国別行動計画による削減を最重視する姿勢を示した。日本政府は、使い捨ての削減や行動変容につながるエコデザイン、リユース、リサイクル、廃棄物管理によって削減すべきだとして、各国が選択できる製品設計のガイドラインを提案している。

これに対して、WWFジャパン 自然保護室サーキュラーエコノミー・マネージャー 兼 プラスチック政策マネージャーの三沢行弘氏は「ガイドラインの意味はあるが、どこまでガイドラインの拘束力があるのか、どこからが各国の裁量なのかが不明。そこが明確にならないと、これまでと何も変わらないことになる」などと危惧する見方を示した。

プラスチック汚染対策の国際条約化に向けた議論では、最大の焦点であるプラスチック生産の削減をめぐって、国際的な一律での生産規制を支持するEUとアフリカ諸国、削減に反対する中東産油国と、中間的な立場の日米などとの間で主張の隔たりがある。

次回の政府間交渉(INC-5)は2024年10月31日から韓国で開催されることが決まったが、2025年に予定されている条約採択会議の日程および開催場所は決まっていない。

【プレスリリース】

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