旭化成株式会社は1月23日、「農林水産業みらい基金」の2024年度助成事業に参画することを発表した。具体的には、「農林水産業みらい基金」の助成対象事業に採択されたスタートアップ、株式会社HATSUTORIと連携し、同社宮崎県延岡市工場から生じる未利用バイオマスをバイオ炭に再利用する取り組みだ。農業・畜産業向けの資材としてバイオ炭を活用することで、地域資源の循環とカーボンニュートラルに向けた温室効果ガス削減を目指す。

旭化成は、延岡工場で再生可能なバイオマスを用いた製品を生産している。本プロジェクトは、製造工程で発生する未利用バイオマスを活用し、資源の有効利用を目指すものだ。またHATSUTORIは、流木などの未利用材を活用したバイオ炭製造技術を推進する企業で、2024年にJ-Startup KYUSHUに選定されている。

本プロジェクトでは、宮崎県内で発生する流木や延岡工場から排出されるセルロースなど未利用バイオマスを原料とし、HATSUTORIが開発した炭化技術によりバイオ炭を製造。農地の土壌改良や畜産業資材として活用していく計画だ。バイオ炭は、炭素吸収によるネガティブエミッションにも寄与するとされている。

農林水産業みらい基金は、創意工夫を活かした地域支援プロジェクトを助成する組織であり、地域活性化や持続可能な農林水産業の実現を目指している。同基金の2024年度助成事業には、HATSUTORIを含め計3件(助成総額1億6,537万円)が選ばれた。

その一つである全国農業協同組合連合会福岡県本部による「産学連携による次世代担い手の育成」事業は、福岡県、大分県、兵庫県を対象に、農作業を請け負う企業や組合が効率的に労働力を派遣できるリソースマネジメントシステムを同志社大学と連携して開発。人材活用を進め、農村集落の人手不足解消と持続的な食糧確保を目指している。

また、湊運輸倉庫株式会社による「ドローンで里山の価値を再発見するプロジェクト」は、岩手県や千葉県を対象に、ドローンとAI技術を活用して広葉樹の種類を判別する技術を開発。DXによる技術継承を進め、里山荒廃の防止や林業の担い手不足解消を目指す。

【プレスリリース】「農林水産業みらい基金」の助成事業に参画
【参照記事】農林水産業みらい基金 2024 年度助成対象事業の決定について
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