ベルギーに本拠を置くブリヂストンEMIA(以下、EMIA)は、2020年に新車装着タイヤ事業(以下、OE事業)を通じた持続可能なイノベーションの大幅進捗を発表した。EMIAはブリヂストンの子会社で、欧州・ロシア・中東・インド・アフリカで事業展開している。
近年ブリヂストンは世界的自動車メーカーのパートナーとして、OE事業を継続的に成長させており、製造だけでなく開発においても環境により配慮して取り組んできた。EMIAと同社のOE事業は2020年、モビリティの持続可能な未来形成に焦点を当て、その成果を以下のように報告した。
(出典:Bridgestone EMIA)
ブリヂストンのタイヤ開発の未来を表す、独自の仮想タイヤモデリング技術は現在すでに使用されている。開発段階でタイヤのデジタルツインを作成する同技術により、物理的に必要となるプロトタイプタイヤと原材料使用量を削減でき、製品開発時間を最大50%低減できる。2020年に同社は技術革新を続け、EMIAがOEタイヤの開発段階で使用するプロトタイプタイヤの数を2019年比で20%削減した。また、仮想タイヤモデリング技術の使用と屋内試験の実施により、OEタイヤの走行試験距離を2019年比で25%短縮した。
こうしたタイヤ開発のデジタル化だけでなく、タイヤの持続可能な性能向上にも取り組んでいる。この分野での継続的な取り組みと、CO2排出量削減と省資源化に貢献するタイヤ軽量化の新技術「ENLITEN(エンライトン)」などの革新的なタイヤ技術の開発により、同社は各製品に使用する原材料使用量を大幅に削減した。2020年に市場投入されたEMIAのすべての新車装着用の夏・オールシーズンタイヤの質量は、2019年の同製品と比較して平均約10%減少している。
ENLITENは、タイヤの転がり抵抗を最大30%低減(ブリヂストンのプレミアム夏タイヤと比較)し、燃料消費量の削減と電池の長寿命化に貢献する。さらに、ENLITENを使用していないタイヤと比較して最大20%軽量化する(※)。これはタイヤ1本の生産に必要な原材料資源量を最大2kg削減できることを意味する。この技術は、2020年に初めて同社の主要パートナーであるフォルクスワーゲンの電気自動車ID.3のタイヤに採用され、現在さまざまなメーカーやモデルで使用されている。
2020年におけるEMIAのOE事業の成果について、同社の消費代替・OE部次長のスティーブン・デ・ボック氏は、「2020年は、最初から最後まですべてのプロジェクトを持続可能性という指標を通して考察しました。原材料の使用量を削減し、仮想タイヤ開発技術を可能な限り開発・適用して、ENLITENなどの持続可能なタイヤ技術をより多くのタイヤに導入するよう意識的に努力することで、1年間で大きく進歩しました。当社は、より持続可能な方法で開発した最先端の新製品を提供するために、エンジニアリングの限界を押し広げ、ますます持続可能な方法で事業を遂行します。世界を牽引する自動車メーカーとともに共通の環境目標を達成して、より持続可能なモビリティの未来を形成できたのは素晴らしいことです」と述べている。
※:ENLITENを使用もしくは使用しない、ブリヂストンの同サイズのプレミアム夏タイヤを比較した同社のデータに基づく
【プレスリリース】BRIDGESTONE EMIA DELIVERS SUSTAINABLE INNOVATION THROUGH ORIGINAL EQUIPMENT BUSINESS IN 2020
【参照サイト】CO2排出量削減と省資源化に貢献するタイヤ軽量化の新技術「Enliten(エンライトン)」を開発